一般社団法人 日本経済団体連合会
【骨太方針2022】
経団連のスタンスは「経済あっての財政」である。ただ、中長期的な政策を講じるにあたり財政が安定していなければ支障をきたすので、財政健全化の旗は降ろしてはいけない。今年の骨太方針で前進した事項を一つあげるならば、予算の単年度主義の弊害をなくそうとしたことである。GX関連の投資や防衛費の増額は中長期で検討すべき政策課題であり、複数年度にわたる予算措置が必要となる。
【新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画】
地球生態系保全や格差の拡大・固定化・再生産といった、行き過ぎた株主資本主義や市場原理が生んだ問題を克服すべく、成長と分配の好循環を通じて包摂的な社会を構築するための施策が多々盛り込まれている。
【物価上昇と賃上げ】
理想的には、物価上昇をベースアップでカバーし、時々の業績を賞与に反映させ、経済を回していくことが望ましい。
ロシアのウクライナ侵略に伴い足下では物価が上昇しているが、賃金の引き上げや社会保障改革を通じて消費や投資を増やし継続的な物価上昇につなげることができれば、経済の好循環を実現するきっかけになる。他方で、原材料価格などの上昇が中小企業の収益を損なうことがないよう、経団連は「パートナーシップ構築宣言」を通じて取引価格の適正化を促していく。
【GoToトラベル】
GoToトラベルの再開は、コロナ禍で傷んだ観光産業や地場産業の回復の一助になるものと期待している。ただし、ウィズコロナにおける観光は、観光客と受け入れ地域双方の安心・安全の確保が大前提である。GoToトラベルの再開は、国民の理解を得つつ段階的に進めるべきである。
【民間経済外交の再開】
コロナ禍にあって各国政府・経済団体などとのリアルでの交流は難しかったが、オンライン等を通じて可能な範囲で政策対話を進めてきた。感染が落ち着いてきており、対面でのコミュニケーションを活発化したい。
経団連は、2015年から毎年、ワシントンDCならびに全米各地にミッションを派遣してきたが、コロナの影響で2020年2月以来できていない。コロナの収束状況等を踏まえつつ、可能な限り早くミッションの派遣を再開したい。
中国は日本にとって最も重要な経済パートナーの一つであり、建設的かつ安定的な関係の構築はアジア太平洋地域の平和と安定、繁栄に不可欠である。日中経協合同訪中団を派遣できない間も、経団連は日中CEO等サミットをオンラインで開催し交流を重ねてきている。昨年に続き同サミットを開催する予定である。また、今年は日中国交正常化50年という節目の年である。先日、経団連が中心となって日中国交正常化50周年交流促進実行委員会を立ち上げた。「日中国交正常化の日」である9月29日には、記念レセプションの開催を予定している。
〔経済界間の交流の意義を問われ、〕国家間で問題や摩擦が生じる時でも対話の窓口は維持しておくべきであり、経済界の交流はその役割を担うものである。国と国の関係が厳しい時ほど、共通の利益に基づき経済界の交流を欠かさずに続けていくべきだ。
【韓国との経済交流】
日韓両国は、自由、民主主義、人権、法の下の平等といった価値観を共有する「同志国」であり、長い交流の歴史を有するパートナーである。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の発足以降、日韓関係には友好ムードが高まっており、このモメンタムを大切にして交流を促進したい。経団連は1983年以来毎年、韓国・全経連との首脳懇談会を東京、ソウルで交互に開催してきた。コロナ禍で2020年、2021年と延期していたが、早晩ソウルで開催すべく現在調整中である。