一般社団法人 日本経済団体連合会
【まん延防止等重点措置の解除】
まん延防止等重点措置期間中の医療従事者の皆様のご貢献、国民各層による感染防止の対策に、改めて感謝と敬意を表したい。政府・自治体には、次なる波の到来に備えるとともに、欧米の動向を踏まえ、パンデミックからエンデミックへの移行を踏まえた対応を進めていただきたい。ポイントは、重症化を防ぐことである。濃厚接触者の行動制限の緩和が柔軟になされるようになったことを評価する。水際対策について、入国者数の枠が5000人から7000人に拡大されたことは前進であるが、制限ができるだけ早く全廃され、海外との往来が再び活発化することを期待している。
【円安の進行】
現下、円安が進行しているが、為替変動の企業に対する影響は業種・業態により様々である。輸出企業にとっては業績を押し上げる要因となるが、一方で、エネルギー輸入企業にとってはコスト増となる。いずれにせよ、為替レートは安定して推移することが望ましい。
【電力需給ひっ迫】
今回の電力需給ひっ迫の主因は、3月16日に福島県沖で発生した地震による火力発電所6基の停止と、急激な気温低下による電力需要の急増である。ロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギー安定供給が重要課題であると肌身で感じられるようになってきたところに、電力需給ひっ迫警報に接したことで、エネルギー安全保障の重要性が再認識されたのではないか。足元の需給ひっ迫への対応も不可欠であるが、同時に、中長期の視野での取り組みも欠かせない。すなわち、カーボンニュートラルに向けて温室効果ガス削減の取り組みが進む中、安全性が担保され、地元住民の理解が得られた原子力発電所については、速やかに再稼働させる必要がある。リプレースへの取り組みも重要である。再生可能エネルギーも含めた電力源の多様化も図らなければならない。
政府からの要請を受け、経団連は本日、特に東京電力管内の会員各社に10%程度の節電を呼びかけた。余力のある企業は、自家発電設備による電力供給も検討してほしい。
【賃金引き上げ】
連合の「2022春季生活闘争第1回回答集計結果」(3月18日公表)で賃金引き上げ率が3年ぶりに2%を超えるなど、春季労使交渉・協議は良いスタートを切っていると思う。3月16日の集中回答日に申し上げた通り、今年は昨年だけでなく一昨年の金額を超えるベースアップや賞与・一時金の回答が多く、労働組合に満額回答した企業も見られるなど、賃金引上げのモメンタムは着実に維持・強化されている。引き続き、コロナ前の水準に業績が回復している企業には、賃金引き上げを期待したい。中小企業にも賃金引き上げのモメンタムを着実につなげるべく、パートナーシップ構築宣言への参加など大企業が率先して取引価格の適正化を推進するよう、今後も呼びかけていく。
【ロシアとの平和条約交渉】
〔ロシアが平和条約交渉の中断を発表したことについて問われ〕経済制裁の原因はロシアのウクライナ侵略である。それを日ロ関係に転嫁するようなことは断じて受け入れられないというのが日本政府のスタンスであり、経団連も認識を共有する。