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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2021年2月8
一般社団法人 日本経済団体連合会

【緊急事態宣言の延長】

政府は、医療提供体制が依然逼迫している状況等を勘案し、緊急事態宣言の延長という重い決断を下したと受け止めている。

現在の感染状況を踏まえれば、相当真剣に対策を講じなければいけない。自粛による効果が現れ始めているが、いつまで続くのか見通しは不透明である。また、逼迫する医療提供体制の立て直しも、すぐに解決できる問題ではない。

経団連は、一刻も早くコロナ禍を克服して経済再生を果たすため、政府の取り組みに全面的に協力すると同時に、雇用確保・維持に努め、国民の生活補償に前向きに対処していく。

【ワクチン接種】

ワクチン接種の担当大臣が任命され、接種のシミュレーションを実施する自治体も出てきている。このように、政府・自治体の動きは迅速であると感じている。日本のワクチン接種開始の遅れへの批判があるが、前のめり過ぎるのはよくない。接種を急ぐのは当然であるが、安全性の確保が第一である。その上で、政府策定の接種スケジュールを着実に実行する体制を整備していただきたい。

経済界としても、ワクチンの配布、接種の管理など、政府・自治体だけでは対応しきれない部分について積極的に協力していきたい。

【東京オリンピック・パラリンピック】

東京オリンピック・パラリンピックはぜひ開催すべきである。本日の会長・副会長会議でもこれが共通認識であった。催行は簡単でないと承知しているが、オリンピック・パラリンピックは国民的、国際的な行事であり、新型コロナウイルス感染症を克服したシンボルにもなる。大きな挑戦であるが、開催することの意義、果実ともに大きい。

〔森東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の発言について所見を問われ〕コメントは差し控えたい。ただ、日本には、女性と男性とを分けて考えようとする習性が依然強いように見受ける。「男は男らしく、女は女らしく」という教育を受けていた時代があったが、今は性別を前提に発言したり、考えたりする時代ではない。マイノリティーへの配慮、ダイバーシティをしっかり意識した組織運営と人事は経営の基本であり、それに努めるべきである。

【株価】

〔日経平均株価が約30年ぶりに29,000円を超えたことについて問われ〕金融緩和で市中に溢れたマネーが流入している状況と理解している。今後の推移を見通すのは難しいが、当面は暴落する動きにはならないものと見ている。

【ジョブ型雇用】

工場労働者の時間管理を前提とする現行の労働時間法制に加え、終身雇用や年功序列、新卒一括採用といったメンバーシップ型と称される「日本型雇用システム」はすべてセットであり、こうした従来型の働き方と、今日的な働き方の中身の間には、大きなギャップが生じている。製造業でもデスクワーク主体のホワイトカラーが増えるなど、労働環境が変化している中で、働き手をどのように評価し処遇するかを考えていく必要がある。また、ミレニアル世代では、仕事を通じて社会に貢献することで自分の存在意義を確かめようとする方向に変化している。

ジョブ型雇用は、各人が自らの存在意義やキャリア形成を考えつつ、担っている仕事や役割を明確にし、それを企業が適切に評価し処遇するといったシステムである。やる気があり、明確な意思を持っている社員に機会を与え、活躍の場をつくることは、企業として非常に重要である。他方、メンバーシップ型を全て否定するわけではなく、それが労使合意でうまくいっているケースもあろう。各企業が自社に適した雇用システムを検討していく必要があり、その時機に来ている。

今年の春季労使交渉・協議は、雇用システムや労働法制をしっかりと議論することが期待される。日本の労働生産性の向上や産業競争力の強化につながる大事な機会・場としていきたい。

【テレワーク】

テレワークが浸透する中で、むしろface to faceでコミュニケーションする必要性があると気づいた業務もある。各企業では、テレワークを推進する上での課題が明確になってきており、各種手当の在り方やコミュニケーションの取り方など、実務面で検討が進んでいる。経団連は今後、アンケート結果等を踏まえ、テレワークをより推進するための具体策を提案していく。

【ミャンマー情勢】

ミャンマーは、多年にわたり海外との関係を構築してきており、その中で、海外からの投資誘致も進んでいる。こうした経済活動の歩みを止めることはできない。今後の情勢の推移を引き続き注視したい。

【カーボンプライシング】

カーボンプライシングは日本のエネルギーコストの上昇につながるというポジションに初めから立って議論すべきではない。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、エネルギー関連税制を一旦整理し、ペナルティではなく企業にとってインセンティブとなりうる有効な制度について議論、提案していきたい。

以上

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