一般社団法人 日本経済団体連合会
【デジタルトランスフォーメーション】
デジタルトランスフォーメーションが進展する中、次のビジネスモデルをどう生み出していくかが課題である。個社だけでは将来を見通しにくいことから、経団連はデジタルトランスフォーメーション会議において、サプライチェーンの見直しやオープンイノベーションの推進など、日本の産業構造全体を強化する観点からの議論を行っており、今後、必要な政策立案やルールづくりを進めていく。中堅・中小企業に対して、中小企業庁や商工会議所と連携しつつ、ITスキルの向上やサイバーセキュリティ対策の強化といった支援を実施している。
【黒字でのリストラクチャリング】
(倒産件数が11年ぶりに前年比増となり、黒字でのリストラが話題となっているが、)経営者は、自社のビジネスモデルを変えていくなど構造改革を進めるにあたり、事業に最適な人員構成を考えるものである。働き手にとっても足もとの雇用情勢が良好で、転職がしやすく、早期退職を希望しやすいという状況がある。そうした認識が、経営判断を促す要因の一つになっている可能性はある。
【米中経済関係】
1月15日に米中貿易協議の第1段階の合意署名がなされる見込みだが、これで米中関係が雪解けになると見るのは難しい。先端技術などの分野で米中間の覇権争いはしばらく続くのではないか。「2018年輸出管理改革法(ECRA)」と「2018年外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」の制定による米国の輸出管理規制、外国投資規制の強化が、サプライチェーン・マネジメントに影響を及ぼす懸念を生じさせている。
【米国の輸出管理強化、外国投資規制】
日本は自由で多角的な貿易投資体制を堅持していることから、米国の輸出管理規制強化、外国投資規制強化の対象国から除外するよう、経団連は米国政府はじめ関係者に働きかけている。
【米イラン関係】
民間経済外交は経団連活動の大きな柱の一つであるが、米国のイランに対する制裁条項が極めて厳しいことから、両国関係の改善に即効性のある行動をとることは難しい。米国の対中東政策の全体像が明確にならない限り、日本政府に具体的な行動を促すことは困難だ。
【春季労使交渉】
「2020年版経営労働政策特別委員会報告」では、「働き方改革フェーズⅡ」を進め、賃金引き上げだけでなく働きがいのある職場環境づくりを行っていくことが重要である、との認識を示す。賃金引き上げについては経済界が具体的な引上げ額を明示したり、詳細なスキームについて議論したりすることは現実的ではない。大前提としては、賃金引き上げのモメンタムを維持していく。