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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 九州経済懇談会後の共同会見における中西会長発言要旨

2019年3月6日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【九州経済】

経済懇談会を通じて、九州の活気を改めて感じることができた。九州が抱える社会的な課題を敢えて挙げるとすれば、人口減少と高齢化である。これは日本全体が抱える課題でもある。九州では、人口流出がとりわけ問題となっており、そう簡単には解決できない。しかし、九州に実際に住めばこんなに良いところはないと思ってもらえるのではないか。若い人にとっては年収の多寡が大事なのかもしれないが、実質的な生活の豊かさという観点からは、九州の優位性は高い。

Society 5.0は工業を中心とした社会の変革の動きと思われがちだが、データを有効活用すれば、九州の基幹産業である観光業や農業のさらなる振興を図ることができる。実際、当地の農業は、地理的なアドバンテージを活かしてアジアへの輸出を伸ばしており、可能性は大きい。さらに、福岡市を中心としたベンチャー振興にも期待しており、地方に人材が戻ってくるきっかけにもなる。ベンチャーエコシステムの創造という点では、日本において九州が一番進んでいる。

もともと、九州は人の交流のベースになってきた地域であり、隣国との交流人口が多かった。こうした地理的なアドバンテージの下、長い歴史の中で九州の文化が育まれ、その中で経済・産業の基盤が蓄積されてきた。

【春季労使交渉】

今年の春季労使交渉では、経営側、労働組合側ともに広範囲にわたった経営課題に関する折衝を志向しており、実際、そうした議論を行っていると聞いている。格差是正を念頭に、中小企業の賃金水準を引き上げるべきという声も聞こえてくる。また、生産性向上という点では、ただ効率を高めるだけでなく、創造性をもってアウトプットを増やしていく働き方の実現が労使の共通認識となっている。来週には集中回答日を迎えるが、実りある議論がなされ、各社の状況に見合った結論が出てくることを期待したい。

国際情勢が不透明な中、経営者としては経済の見通しを楽観的に見ることはできない。ただ、こうした見方は経営者としての常であり、労使交渉と直結するものではない。日本経済をこれからどう回していくのか、そのためにはどういう働き方が必要なのか。高度成長期は効率性を高めることが経済の活性化につながったが、今はもっと工夫を凝らした働き方が求められている。働く人が勇気づけられるような働き方、処遇のあり方を追求することが重要となる。

【電力・エネルギー】

九州では、原子力が基幹電源ではあるものの、東日本大震災後に原発が停止していたとき、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーが支えになっていた。ただ、電力システムは、需要と供給をバランスさせることが必須であり、再エネの総発電量が大きく増加したことで、九州電力管内だけでさばくことが難しくなっている。CO2削減にも資する形でどのような電力システムを設計するか、必要な設備投資を促す仕組みをどう整備するかが全国的な課題となっており、九州はその解を切実に必要とする象徴的な地域になっている。日本の質の高い電力供給を今後も維持・発展させられるのか、重要な局面を迎えているとの危機感を抱いている。

以上

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