一般社団法人 日本経済団体連合会
【中部経済】
東海地域の経済は、産業の基礎力がしっかりしている。地域の弱み・課題を踏まえた競争力強化に向けた提言「中部圏 5.0」についても伺うことができ、本日の経済懇談会は大変有意義であった。4、5年前までの各地方での経済懇談会では、弱音を聞くこともあったが、今はそうした声は聞かれない。アベノミクスの下、各々の地域経済は元気になっている、成長しているという実感がある。とりわけ東海地域は活性化しており、しっかりしたビジョンを持っている。
今後は、デジタル革新が産業基盤に変化をもたらす中、単にデジタル化するのではなく、サイバーとフィジカルの二つの世界が呼応し、産業基盤を作り直していくことが鍵になる。その際、フィジカル(実業)の産業基盤がしっかりしていることが前提であり、その上で、フィジカルを支えるソフトパワーの力が重要となる。この点、東海地域の経済は産業の基礎力が確かであり、日本経済全体から見ても、期待は大きい。
【春季労使交渉】
経団連は今年の経営労働政策特別委員会報告で年収ベースの賃金引上げを呼びかけている。ベアに対して否定的な考えはない。その上で、働き方改革を加速していくためには、従業員のモチベーション向上につながる報酬のあり方が重要になる。成果が上がった従業員にはしっかり報酬で報いていくことが大切である。これは必ずしも従業員全体の賃金を一律に上げていくということではない。勿論、そうした報酬体系が合う業種もあるとは思う。
中部経済は産業の基礎力がしっかりしており、賃金引上げの面でも、是非、日本全体を引っ張っていってほしい。賃金引上げのモメンタムを継続していくという基本的な姿勢で、多くの企業、産業に賃金引上げに前向きに取り組んでいただきたい。ただし、賃金の引上げについては、個々の企業の中で労使が交渉して決めることである。
ベアを非開示にするなど、賃金をトータルに捉える労使交渉がトヨタ自動車はじめ企業の間で広がっていることは当然のことだと見ている。春季労使交渉は、年度の切り替わりのタイミングで、経営側と従業員側が会社の様々な課題について、率直に意見交換する非常に有意義な機会である。勿論、賃金は重要なテーマであるが、春季労使交渉はそれ以上に、働く環境をどう改善していくか、自分の人生設計をどう考えるかなど、幅広く議論する有益な場となっている。春季労使交渉において、賃金のみならず会社が抱える幅広い課題について議論することが重視される傾向になることは当然だと思う。
【外国人材受け入れ】
外国人材の受け入れについては、人手不足対策は勿論だが、日本の多様性の乏しさがイノベーションを進める上では不利になるという危機感が出発点である。意欲のある外国人の方に喜んで来日し、働いてもらえる環境整備が必要であり、政府が外国人材の受け入れに向けた整備を進めていることは心強い。行政サービスの多言語化、日本の住環境への適応、外国人子女の教育の問題など、まだまだ課題も多く、これらにしっかり取り組んでいくことが求められている。外国人材の受け入れ拡大は、日本が開かれた国になるための重要なひとつのステップである。
【浜岡原子力発電所への視察】
明日(2/14)、浜岡原子力発電所を視察する。中部電力は、東海地震はじめ自然災害への感度が高く、浜岡原子力発電所ではかねてより安全対策にしっかり取り組んできた。防波壁ばかりが注目されるが、総合的に安全対策を講じている。また、これまでの事故・トラブルについても、しっかり記録として残し、展示している。こうした中部電力の安全文化を副会長とともにしっかり見てきたい。