一般社団法人 日本経済団体連合会
【Society 5.0】
会長就任から半年で、Society 5.0に関する提言を取りまとめ、実現に向けて各方面に働きかけている。最重要課題にもしっかり取り組むことができている。新しい産業構造への転換に向けて、大きな一歩を踏み出すことができた。
就活ルールに関して問題提起し、大きな反響があった。これはただ採用に関するルールに留まるものではなく、働き方改革につながる課題であると認識している。経済社会が大きく変わる中、従来の産業構造・働き方から脱却し、いかに知恵を生み出せるかが問われている。産業構造の変革にどう向き合っていくかは、経団連の大きな課題である。これからの時代、社会、地球に貢献していくことが企業の大きな使命である。
【春季労使交渉】
政府と経済界は賃金引き上げのモメンタムを継続することが重要であるという基本認識を共有している。政府から要請されたから賃金を引き上げる、というようなことではない。経済の好循環には賃金引き上げが必要である。政府も、賃金は労使間の交渉により決まるものという賃金決定の大原則を尊重していると理解している。
【産業革新投資機構を巡る問題】
日本では色々な意味で産業の新陳代謝が進んでいない。政府がこれを投資という形で後押しするということは理解できるし、重要である。産業革新投資機構は新しい産業への投資を推進する組織であり、そうした期待を背負って発足した。
ただ、組織のガバナンスについて、政府と辞任した経営陣との間にギャップがあり、これが埋まらなかった。もう少し事前に両者が詰めておくことができれば良かったのかもしれない。旧経営陣側、政府側の双方の主張を理解できる。最終的に、民間出身の経営陣の総辞任という形になったことは残念である。
【地球温暖化】
現行技術を前提とすれば、原子力なくしてパリ協定に基づく日本の削減目標を達成することは不可能だろう。長期での大幅削減を見据えれば、原発のリプレース・新増設が必須であることは客観的に見て当然である。他方、原発の問題は国民の理解なしでは進められないことも事実である。難しい課題ではあるが、政府には引き続き、総合的な観点から舵取りをしていただきたい。
【経営者の報酬とその開示】
ゴーン前会長の報酬は日本の経営者の中では飛び抜けて高いが、欧米の水準から見れば普通である。欧米の経営者並みの報酬が日本社会に受け入れられるかどうかが一つの論点である。
開示については、わが国でも経営責任を持つ経営者の報酬は開示すべきという方向にあるかと思うが、どのように、どこまでといった具体的な話になると、日本社会でそれがすんなりと受け入れられるかどうか。難しい問題である。