一般社団法人 日本経済団体連合会
【採用選考に関する指針】
本日の会長・副会長会議において、2021年度以降に入社する学生を対象とする採用選考に関する指針を策定しないことと決まった。日本の現状を見れば、何らかのルールが必要ではあるものの、経団連がルールづくりをしてきたことに抵抗感があるというのが、ほとんどの副会長の認識であった。
今後は、未来投資会議をはじめとする政府の関係会合において、2021年度以降のルールのあり方について議論していくことになる。先延ばしはできないため、早いペースで議論が進むのではないか。経団連としても、積極的に議論に参画していく。
今後の議論において重要なことは、大学の教育の質を高めることである。学生の学修時間が世界的に見て不十分との認識をもっており、未来投資会議ではそうした大学教育に関する本質的な議論をしたい。
他方、企業側にも反省点はある。すでに多くの企業が新卒一括採用のみならず、中途採用などを行っているが、学生にどのような勉強をしてほしいのか、入社後のキャリア形成をどう用意しているのか、などといった具体的な事柄について、これまで企業から社会全体に十分に伝えてこなかった。今後の採用のあり方についても議論していきたい。
【政治との連携強化と政策評価】
今年も政策評価をとりまとめ、政治寄付を会員企業に呼びかける。各企業の判断ではあるが、関与を再開して以来一貫して、社会貢献の一環として政治寄付で政治活動を支えるべきと経団連は考えている。政治献金を判断するにあたり、各政党、特に政権政党による政策実行を評価することは当然であろう。政策を担う政権与党である自民党・公明党に対しての評価になることは今年も変わらない。
【高齢者雇用】
マクロの観点からみれば、働く意欲があり、さまざまな対応が可能で、実際新しいことにも取り組んでいる高齢者が従来よりも増えている。そうした高齢者に働く機会を提供できるように環境を万全に整えていくことは重要である。ただし、一律の制度として、何歳まで雇用を保障するといった議論に一挙に進むのはいかがなものかと思っている。
【エネルギーミックス】
再生可能エネルギーを基幹電源とすることには誰も反対しないだろう。ただし、再生可能エネルギーを安定的に供給するための投資が必要である。設備投資できる環境整備が求められる。わが国の再生可能エネルギーは世界に比べて高コストであるため、固定価格買取制度(FIT)も含めて大幅に見直していく必要がある。
制度、料金、技術、さらには分散型電源のあり方など様々な課題があり、その解決に時間はかかるが、日本社会は挑戦していかなければならない。今は、エネルギーミックスにおける再エネの数字をいくつにするかといった議論をする段階ではない。経団連としても諸課題の解決に向けて提案するなど、しっかり議論をしていく。