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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2018年3月12日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【審議員会副議長候補者の内定】

本日、会長・副会長会議の審議により、5月7日の理事会において選任する審議員会副議長の候補者を内定した。5月末の定時総会をもって、村瀬治男副議長、野路國夫副議長、宮本洋一副議長、伊藤雅俊副議長が任期満了により退任する。また、冨田哲郎副議長、隅修三副議長、片野坂真哉副議長は副会長への就任により退任する。新たな候補者として、根岸修史積水化学工業会長、斎藤保IHI会長、篠原弘道日本電信電話副会長、菰田正信三井不動産社長、畑中好彦アステラス製薬社長、井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長、新浪剛史サントリーホールディングス社長を内定した。今回新任される副議長に加え、2016年に選任され今回再任される5名の副議長を候補者として、5月7日の理事会に諮る。再任、新任の審議員会副議長の就任日は5月31日となる。

人格識見に優れ、グローバルな活動やイノベーションを進めるバイタリティある経営者の方を選任した。また、審議員会は会長の諮問機関であることを踏まえ、業種の多様性を意識した。加えて、経団連が最重要課題として掲げるSociety 5.0の担い手として、社会的課題へのソリューションを提示し、イノベーションを推進している企業という点を重視した。

【採用選考活動】

会長・副会長会議で2020年度以降入社対象の採用選考のあり方について審議を行い、2020年度入社対象について了承を得た。経団連は、2017年度入社対象の指針から、広報活動開始については3月1日以降、選考活動開始は6月1日以降と規定し、2018年度、2019年度入社対象についても同じスケジュールを適用している。就職・採用活動の早期化や、学生の業界研究や企業研究の時間確保の面で課題があるとの指摘もあるが、総じて大きな問題は見られないと判断しており、様々な点を総合的に考慮して、2020年度入社対象についても現行のスケジュールを維持することにした。

政府は、約450の経済団体と業界団体に対して、経団連の指針に基づく開始時期の遵守や学事日程への配慮を求めている。すべての企業が一定のルールに沿った秩序ある採用選考活動を行うことが学生の学業にも配慮した活動となる。様々な場を通じて会員企業への遵守の呼びかけをはじめ指針の周知徹底を図っていく。

時代が変わり、海外への留学生も増え、ITのような非常に動きの速い業界もある。そうした中、一定の時期を定めて一括して採用するという方式について、色々な意見があることは事実である。ただ、何のルールもないのは問題が多い。かつて経団連は3年生の12月に広報活動開始、4月に選考活動開始という指針を定めていた。学生が3年生の間は就職活動が学事日程に影響しないよう、学業に専念させてほしいとの要請が2013年に政府、大学側からあり、スケジュールを変更した。経団連の指針を遵守しない企業があることも承知しているが、政府や大学の要請を受けて決めた今のルールには一定の意義がある。

なお、2021年度以降入社対象については、引き続き検討を行ない、秋ぐらいまでには一つの方向性を出したい。良い形を模索していきたい。

【春季労使交渉】

現在、各社で賃金交渉を行っている最中であり、3月14日に集中回答日を迎える。賃金交渉のベースは企業の業績であり、2018年3月期には多くの企業が史上最高益を更新することが見込まれている。株価の変動などによる影響は限定的であろう。為替の動向や保護主義的な政策、貿易摩擦・貿易戦争につながりかねない国際情勢など、春季労使交渉に影響を及ぼしかねない懸念がまったくないわけではないが、経団連が経労委報告で示した指針に沿った、前向きな回答が多く出てくることを期待している。

【北朝鮮問題】

北朝鮮問題を巡って対話が進められていること自体は前向きに評価したい。しかし、北朝鮮が示したとされる非核化の意思については、一部に時間稼ぎという指摘もあり、真意・真偽を見極める必要がある。2005年には核計画の放棄、北朝鮮の体制維持、経済支援というパッケージでの合意がなされたが、実際には核兵器の開発が進んでいた。こうした過去の事例も踏まえ、今後、米朝間でどのような交渉・会談が行われるのか注視していきたい。4月には日米首脳会談が開催されるなど、日米や日米韓といった当事国における対話が重要となる。北朝鮮の非核化が確保される方向で進んでいくことを期待したい。

【森友学園を巡る問題】

公文書管理のあり方として、決裁文書の書き換えが行われたことは言語道断である。ましてや立法を担う国会に提出する文書が意図的に書き換えられたのはゆゆしき事態である。事実関係を徹底解明しなければならず、とりわけどのような意図と指揮命令系統で書き換えられたのかを明らかにすることが喫緊の課題である。財務省には国民に広がる不信感を払拭し、信頼回復に努めてもらいたい。

企業であれば、こうした事態に直面すれば、トップが先頭に立って、事実の解明と再発防止に取り組み、その内容によっては責任の取り方もきちんと決める。企業の対応がそのまま国政に当たるかどうかは分からないが、国民の行政に対する不信感を払拭し、信頼感を取り戻すため、原因究明と再発防止の方策をしっかり示すことが重要である。

森友学園の問題も極めて重要であるが、他方、国会では参議院での予算審議はじめ重要課題が山積している。働き方改革、北朝鮮問題、米国による鉄鋼・アルミへの関税措置など、日本の将来に極めて大きな影響を及ぼす問題が多く残されている。また、停滞している法案審議も可及的速やかに進める必要がある。森友学園の問題の解明も疎かにできないが、国会審議に影響を及ぼさない形でやってもらいたい。

毎年のように首相が交代していた時代は、成長戦略は策定するばかりで、実行する段階までには至らなかった。他方、安倍総理は安定政権を構築しており、経済界との連携関係を維持・強化してきた。経団連からもきちんと提言を行うなど、協力関係が構築できている。こうした形が本来あるべき姿である。国民への説明と信頼回復に努め、政治が早期に安定した状態に戻ることを切に期待している。

以上

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