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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 東北地方経済懇談会後の共同記者会見における榊原会長発言要旨

2016年9月9日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【東日本大震災からの復興】

震災から5年半が経過し、県によって状況は異なるが、全体としては生活拠点の再生、公共インフラの復旧には一定の目途がついてきた。一方で、未だに原発事故による避難者を中心に約14万人の方々が避難生活を余儀なくされている。また、国民の記憶の風化が進みつつある。さらに、風評被害が払しょくできておらず、農林水産業や観光といった地域経済の要である産業の再生は未だ道半ばである。

5年間の集中復興期間が終わり、5年間の復興・創生期間に入った。10年間の復興期間の総仕上げに向けて、被災地の自立につながり、地方創生のモデルとなるような復興を目指していくことが重要である。経団連としても、引き続き官民一体で東日本大震災からの復興を加速させていく。特に被災地産品の消費拡大に向けた会員企業への働きかけ、風評被害の克服に資する活動に積極的に取り組んでいきたい。マルシェや社員食堂などを通じて、消費拡大に取り組んでいくとともに、海外の経済団体や政府要人との会談を通じて、農産物に係る輸入規制の撤廃を要請していく。風評被害については根強いものがあり、科学的見地に立ったわかりやすい情報発信を心掛けていくことが必要である。東北には質の高い様々な農産品がある。販路開拓、風評被害払しょくに全力で取り組んでいきたい。

今年3月には、被災地のビジネスを成長ステージへと押し上げ、産業再生への道筋をつけるべく、復興応援イベントを開催し、販路の開拓や経団連企業とのマッチングの機会創出に取り組んだ。今後も新たな商流の創出、販路開拓といった事業再生を支援し、震災復興と新しい東北の創生に全力をあげていく。加えて、これまで通り、復興庁はじめ行政への人材の派遣も進めていく。様々な切り口から復興に協力していきたい。

【金融政策】

デフレ脱却と物価目標2%達成に向けた政府と一丸となった日銀の金融政策について基本的に従来より支持している。9月20日、21日に開催される金融政策決定会合において、これまでの金融政策の包括的な検証が行なわれるということで、注目している。物価目標2%が達成できない理由、ならびに新たな目標を設定するのであればそれをきちんと明示してほしい。

また、マイナス金利をめぐっても、プラスとマイナスの両方の側面があるので、導入から半年という一つの節目の中、功罪両面を検証してほしい。プラスの効果は間違いなくあるものの、現象としては、金利を下げて、設備投資を拡大するという目標に対して大きな効果は出ていない。もちろん、金融だけでなく、いろいろな事象が原因となっているが、金利を下げたからといって、すぐに反応はしなかった。また、企業からみれば、年金の運用等で問題がある。プラスとマイナス両方があるので、総合的に評価すべきである。また、短期的ではなく、中長期的な評価が必要である。

こうした検証を踏まえて、今後、どのような金融政策を採用していくのか明確に示してもらいたい。きわめて重要な局面での会合となり、注目している。さらなる緩和については、これは日銀がまさに専門的な立場で判断することである。黒田総裁は物価目標を達成するためにはあらゆる政策を躊躇なく総動員すると言っている。そうした判断のもと、発動されるのであれば、期待したい。

【配偶者控除のあり方】

女性の活躍推進という観点から、配偶者控除について制度の見直しを主張してきた。政府で、働き方に対して中立的な税制の検討が進められていることを歓迎したい。経団連としてもこうした動きに呼応して検討をすすめ、具体的な制度設計に協力するとともに、制度改革を働きかけていく。

【未来投資会議】

新たに設置された未来投資会議においては、成長戦略を進める中、消費や設備投資がどうして伸び悩んでいるのか、どのような政策が足りていないのかをしっかり検証すべきである。また、成長戦略の柱である第四次産業革命とSociety 5.0を強力に進めていく体制を作る必要がある。省庁の壁を突破し、国を挙げて推進する体制を整備しなくてはならない。また、日本再興戦略で打ち出された官民戦略プロジェクト10についても、第四次産業革命を除いて具体化まで至っておらず、個々のプロジェクトを具体的な政策へとつなげていく必要がある。

【北朝鮮による核実験】

北朝鮮が核実験を行ったということであれば、断じて許容できない。わが国の安全保障という観点から、事態を大変憂慮している。北東アジア、世界全体への安全保障への脅威であり、甚だ遺憾である。日本政府は安倍総理自ら声明を発表するとともに、関係国、国連とも緊密に連携し、断固たる対応をとる姿勢を明確にしている。今後の展開を引き続き注意深く見守りたい。

以上

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