一般社団法人 日本経済団体連合会
この度閣議決定された「骨太方針2024」と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」は、「デフレからの完全脱却」や「成長と分配の好循環」の実現に向けて、日本経済を成長型の新たなステージへ移行させるための政策が数多く盛り込まれている。こうした一連の政策によって、豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を構築していくとの方向性は、経団連の考えと軌を一にするものであり、高く評価したい。
GXやDXといった社会課題の解決に向けた官民連携による戦略的な投資を推進するとともに、スタートアップ育成5か年計画を着実に実行するほか、コンテンツ産業を重点分野と位置付けた。また、賃金引上げの流れを中小企業や地方に波及・定着させるとの方針が示されている。
さらに、これらの政策の基盤であるマクロ経済財政運営については、2030年度までの「経済・財政新生計画」を定め、2025年度の国・地方のプライマリーバランス黒字化を目指すとともに、経済・財政・社会保障を一体とした改革を進める旨が示された。その下で、民間の予見可能性を高める中長期の計画的な政府投資を行い、その財源も検討することで、積極果敢な民間投資を喚起すると同時に、歳入と歳出を多年度でバランスさせるとしている。
今後、賃金引上げを消費につなげ、好循環をより確かなものとするためには、国民、とりわけ若い世代の将来不安の解消が不可欠である。政府においては、社会保障の給付と負担の将来像を示すとともに、公正・公平で持続可能な全世代型社会保障の構築に向けた骨太な議論が早急に始まることを期待したい。
経団連としては、デフレからの完全脱却と好循環の実現に向けて、国内投資の拡大や来年以降の賃金引上げの維持・強化などに果敢に取り組む所存である。さらに、長期的なわが国の経済・社会の目指すべき姿と、その実現に向けた道筋を明らかにしていく。