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会長コメント/スピーチ  会長コメント G7広島サミットに関する十倉会長コメント

2023年5月22日
一般社団法人 日本経済団体連合会

昨日、G7広島サミットが成功裡に閉幕した。議長を務められた岸田総理および関係閣僚の方々ならびに準備にあたられた政府関係者に敬意を表する。端々に外交の妙を感じさせるサミットであった。

世界のどこであれ、力による一方的な現状変更を断固として拒否し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとの強い意志が示されたことは重要である。国際社会の平和と安定に関する討議にゼレンスキー大統領が対面で出席されたことは、G7の結束を一層強固なものにするとともに、招待国を含む各国首脳のウクライナ情勢への理解を深める機会にもなったと確信する。

世界が分断の傾向を強める中、その影響を最も受ける開発途上国等のパートナーへの関与を強化していくことについて、先進国首脳が一致した意味は大きい。また、被爆地である広島において、核兵器のない世界という理想に向けて現実的かつ実践的な取組みを進めていくためのビジョンが発信されたことも意義深い。

以上のほか、ルールに基づく多角的貿易体制の強化を謳った上で、「強靱で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則」を、開発途上国を含む全ての国に広める意志を示したことを高く評価する。また、自由、公正で互恵的な経済・貿易関係強化に資する連携を表明していることは、B7東京サミット共同提言の「自由で公正な貿易投資のためのクラブ」と基本的考え方において通底するものであり、来る10月に開催予定の貿易大臣会合に向けて更なる議論の進展を期待する。

また、気候変動対策について、開発途上国等との連携や多様な道筋の追求が合意され、エネルギー安全保障と持続的な経済成長を確保しつつ、再生可能エネルギーの拡大や、原子力、水素・アンモニア等の活用で一致したことを高く評価する。加えて、GX、循環経済、生物多様性保全の統合的な取組みに関する合意も意義深い。

さらに、2019年のG20大阪サミット以来、わが国が主導してきた「信頼性のある自由なデータ流通」(DFFT) の具体化に向け、パートナーシップのためのアレンジメントの設立が承認されたことは、重要な進展である。今後、同アレンジメントから具体的な成果があがることを期待する。

G7首脳には、今般合意した事項を、速やかに行動に移すことを切に希望する。経団連は、他のB7参加団体とも連携し、世界の分断を回避すべく行動していく。

以上

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