
小野寺政調会長
経団連企業人政治フォーラム(片野坂真哉会長)は2月4日、東京・大手町の経団連会館で講演会を開催した。主要会員企業から約200人が出席。自由民主党の小野寺五典政務調査会長が講演した。概要は次のとおり。
■ 世界の現状と政治体制
2024年10月に行われた衆議院議員総選挙において、自民党は多数の議席を失い、少数与党となった。日本のみならず世界を見渡すと、多くの先進国で政権交代が生じている。世界的な物価高を背景とした各国国民の不満の高まりが、政治の不安定化につながっていると考えられる。
西側先進国における不安定な政治情勢とは対照的に、専制政治体制を敷く国々の政治は比較的安定しているといえる。そして、これから経済成長を遂げようとしているグローバルサウスの国々は、世界の現状を冷静に見ている。こうした局面にあるからこそ、民主主義の価値観をしっかりと各国と共有していくことが重要である。
さらに不安定な情勢のなかで各国では、極右・極左勢力の伸長も見られる。この傾向は、日本においても例外ではないといえる。こうした情勢を俯瞰しながら、民主主義において重要な「中道」を追求していくことが、自民党に求められると認識している。
■ 当面の重要課題
当面の課題として、対米外交とサイバー防御を取り上げたい。
対米外交については、2月7日に日米首脳会談が予定されている。第2次トランプ政権発足後では、イスラエルに次ぐ2番目の首脳会談であり、米国側の日本への関心の高さがうかがえる。わが国が世界一の対米投資国であることについて米国の理解を得ながら、強固な関係を構築していきたい。
サイバーセキュリティについては、近年、機微情報の窃取や重要インフラの機能停止などを目的とする高度なサイバー攻撃が増加している。安全保障上の懸念が高まっていることを踏まえ、サイバー対応能力の向上の観点から、能動的サイバー防御を導入するための法整備を予定している。また国際社会では、他国の混乱を招く、あるいは自国の評判を高め、他国の評判をおとしめるといった認知戦がすでに始まっている。このため安全保障上重要な分野において、わが国として信頼できるAIの開発や、人材育成などの必要な対応を進めていく。
足元では、予算審議が行われている。国民生活への影響を避けるべく、政治の責任において、必ず3月末までに予算を成立させる必要がある。少数与党による政権運営のなかで、与野党間の協議に関しては、これまでにない難しさを感じているが、政調会長として、引き続き鋭意取り組んでいく。
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講演後には、サイバーセキュリティや、対米外交のあり方、官民連携の重要性などを巡り、質疑応答が交わされるなど、活発な意見交換が行われた。
【総務本部】
大臣や主要な政治家、有識者を招いた講演会の開催などを通じ、企業人の政治参加意識の高揚と、企業人と政治とのコミュニケーションの促進に努めています。
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