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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年1月1日 No.3665 副会長新年メッセージ

東原敏昭副会長(日立製作所会長)

東原敏昭副会長

24年は世界各国で選挙が実施されましたが、西側諸国の多くで与党が議席減や政権交代に追い込まれました。それだけ格差拡大やインフレなど人々の現状への不満は大きい。25年も地政学リスクは社会・経済の不安定要因となり、企業はリスク管理とそのなかで価値を創造することが求められます。

私が議長を務めた24年の夏季フォーラムでは、「サステイナブルな未来社会のデザイン~2040年に向けたSociety 5.0のアップデート」と題して、国内外の諸課題を俯瞰したうえで、持続可能で成長する日本の未来社会像をどのように描くと良いか議論しました。24年12月に経団連が公表した「FD2040」ではさらに議論が深められ、より具体的に将来の国家像が示されています。

こうしたビジョンからバックキャストして得られる横断的なアクションは、雇用、エネルギー、社会保障などの市民にとって身近な課題の解決にもつながります。25年を、一つひとつ解決に向けて動かす「着実に前進する年」としていきたい。

橋本英二副会長(日本製鉄会長)

橋本英二副会長

世界は大きな転換点を迎えています。脱炭素社会の実現と産業競争力確保両立の難しさに気付いた欧州。長期低迷から抜け出せない中国。そして米次期トランプ政権の保護主義的政策が今後もたらす世界規模での産業立地の再配置。これら地政学リスクに最もさらされているのがわが国であると危機感を持たねばなりません。同時に、類を見ない世界的な混乱期にあるからこそ、日本が再び国際社会で輝きを取り戻すラストチャンスと捉えるべきです。

24年の日本はデフレからの完全脱却、成長と分配の好循環実現の契機を得た年だったといえます。しかし持続的な成長軌道に乗るためには若い世代が抱く将来不安の払拭が何よりも重要です。わが国の成長のために産業界・企業として取り組むべきことを見極め、実現に向けた具体的道筋を描き、社会に示していかねばなりません。その根幹を成すのがエネルギー、産業政策です。これまで以上に官民連携が重要となります。私自身全力を尽くして参ります。

津賀一宏副会長(パナソニックホールディングス会長)

津賀一宏副会長

世界では、ウクライナや中東での紛争が長期化し、地政学リスクは依然高いままです。また、多くの国で政権交代が相次ぎ、政治的な不安定さも増大しています。

このようななか、経団連は日本が抱える複雑な課題に対して、「FD2040」を策定しました。この提言では、日本の国際競争力を高めるべく、これらの課題に対して産学官が一致団結して解決に取り組み、日本を再び成長軌道に乗せるために必要な方策を提示しています。また、国民の皆様とも広く共有し、一人ひとりが自分事として捉え、社会全体の意識変革を促していくことが必要と考えます。新政権とも連携し、変革を推進していきます。

さらに、25年は大阪・関西万博が開催されます。エネルギーや環境に関する最新技術を世界に発信する絶好の機会です。万博を通じて、「持続可能な成長を実現し、より良い未来を築く」というビジョンを示すとともに、日本を再び成長フェーズに転換し、新たな価値を創造することを目指して参ります。

南場智子副会長(ディー・エヌ・エー会長)

南場智子副会長

政府の「スタートアップ育成5か年計画」が折り返しを迎えます。挑戦者の数が増えていることは歓迎しますが、世界で大勝ちする新しい企業の誕生という点では順調な進捗とはいえません。鍵はディープテックです。大学の研究成果の社会実装を飛躍的に加速させるための提言「Science to Startup」を24年に取りまとめました。研究とスタートアップの間をつなぐパスを構築し、世界を驚かせる企業を次々と輩出する国となるために行動を起こしたいと思います。

もう一つの注目領域はAIです。AIは24年の1年間で飛躍的に進歩しましたが、25年はさらに加速するでしょう。AIに対する投資と事業化への意欲は日米間では驚愕するほどの差がありますが、AIによる全産業のアップデートは待ったなしです。5年後自社を取り巻く環境がどう変わっているか、AIを前提にビジョンを描けない企業に未来はありません。気を引き締めて臨みます。

小路明善副会長(アサヒグループホールディングス会長)

小路明善副会長

25年は団塊世代が後期高齢者となる、いわゆる「2025年問題」に直面します。社会保障費の負担増や働き手不足などによる経済の縮小スパイラルに陥らないためには、経済の質や価値を高めることが求められます。デフレから脱却しつつある今、付加価値の創出を通じて成長と分配の好循環を生みだす高付加価値循環型の経済構造に転換し、潜在成長率の向上につなげる必要があります。

また25年は賃上げの「定着」の年を目指す一年となります。鍵を握るのは労働分配率が高い中堅・中小企業の賃上げです。人手を確保するための守りの賃上げから攻めの賃上げにシフトするためには、価格転嫁力の強化、付加価値労働生産性の向上が肝要です。

付加価値を創出するのは「人」です。教育・大学改革推進委員長として、高い専門知識や技術を持つ高度専門人材を中心とした付加価値創出の担い手の育成・活躍のために何が必要かを考え、日本経済の新たな飛躍に微力ながら尽力して参ります。

永野毅副会長(東京海上ホールディングス会長)

永野毅副会長

このたび経団連が発信した「FD2040」は、社会性の視座のもと、わが国のあるべき国家像や社会像を世に問うていくものです。私は、国民一人ひとりが自分の生き方を選び、幸せな人生を送ることができる「良い社会」をいかにつくり上げるかという思いを込めて、この国家ビジョンづくりに参画しました。わが国のあらゆる問題の根本にある人口減少・資源小国という現実から目を背けず、むしろ創意工夫のしどころだと国民が捉え、わが事として主体的に取り組める端緒となる提言に仕上がったと思います。

この提言を実現するには、社会のルールに人を適応させていた今までのトップダウン型の社会から、人や地域の個性や能力、可能性に社会が合わせることで、「一人ひとりが社会を動かすことができるんだ」と実感できるボトムアップ型社会へパラダイム転換することが重要です。我々の明るく前向きなメッセージが国民の主体的行動を喚起するきっかけになることを大いに期待しています。

遠藤信博副会長(日本電気特別顧問)

遠藤信博副会長

24年、経団連は「FD2040」を公表しました。日本は少子・高齢化、食料・資源の低い自給率という課題を抱えています。これらの課題を自ら解決するためには、世界にとって「なくてはならない国」としての位置付けを確立し、それを継続する努力が必要です。

人口減少下においても、日本が「なくてはならない国」であるためには、より高い価値を創造しGDPを維持するとともに、グローバルへの価値貢献を高めることが必要です。企業は社員一人ひとりの「個」の主体性を尊重し、多様性のなかで価値創造能力が最大限発揮される環境を整えることが重要です。価値創造活動は人財の継続的な輩出によってのみ持続されます。企業が積極的に価値創造活動の意味と魅力を伝え、「個」の主体性を尊重し、多様性を育む教育環境を産学官が一体となって構築することこそが日本の国力の維持・強化につながると考えます。

25年も国力の強化を軸に課題に向き合い、尽力して参る所存です。

小堀秀毅副会長(旭化成会長)

小堀秀毅副会長

世界的に選挙の年であった24年を経て、25年は内外の政治情勢が流動的になり、経済や社会の変化も激しくなる年になりそうです。

気候変動問題を意識したカーボンニュートラル化、循環型社会の形成といった世界的な課題への対応、そして日本においてはデフレからの完全脱却、地方創生、全世代型社会保障の構築など、取り組むべき課題が山積しています。経済界としては、短期的な政局に左右されることなく、中長期的な視点から腰を据えて課題解決に取り組む姿勢が必要です。

そのためには、「FD2040」に掲げた目指すべき国家像の実現に向け、各施策における産学官の一層緊密な連携、イノベーションを通じた新しい価値創出および課題の解決が求められます。また海外においては、同様の課題を抱えるASEAN等との協力の強化も必要だと思います。

将来世代に向けて、少しでも経済や社会が安定し、明るい未来を描けるよう、引き続き尽力する所存です。

永井浩二副会長(野村ホールディングス会長)

永井浩二副会長

24年は世界90カ国以上で選挙が行われる歴史的な「選挙イヤー」でしたが、ポピュリズムや自国優先主義の台頭などにより、先進国では与党の苦戦や政権交代が相次ぎました。またロシアによるウクライナ侵攻や複雑化する中東情勢などは収まる気配を見せず、グローバルサウスと呼ばれる国々の国際社会における存在感の高まりもあり、世界の多極化が進み、国際協調体制の維持がますます難しくなっています。そうしたなかで、米国ではトランプ前大統領の再任が目前に迫っており、国際秩序がさらに大きく揺らぎかねない状況です。

このように多極化する世界において日本が存在感を示すためには、官民を挙げた戦略的な経済外交の推進に加え、わが国経済の持続的な成長の実現が欠かせません。25年もイノベーションによる新たな価値の創出、労働生産性の向上などを通じて、「成長と分配の好循環」を継続させることが重要であり、これまで以上に官民で力を合わせ、日本経済が発展すべく尽力して参る所存です。

筒井義信副会長(日本生命保険会長)

筒井義信副会長

25年は、さらなる変革・成長に踏み出す年として期待されます。

25年は、新しいエネルギー基本計画が動き出すなど、GXが次の段階に変革する年となります。再生可能エネルギーの普及や新技術の開発を加速し、環境と経済の両立を目指す動きをさらに強化する必要があります。こうした取り組みは、社会課題の解決に留まらずわが国の産業競争力を高め、新たな成長分野を切り開く鍵にもなるでしょう。

また、25年は大阪・関西万博の開催が予定されており、新たなイノベーションと国際的な交流を通じ、経済の活性化と地域の発展が期待されます。この好機を捉え、国内外に開かれた経済環境の整備や日本企業の活力を引き出す政策を進め、力強い成長軌道を描くことが重要です。

干支の「乙巳(きのとみ)」は、変化と成長を象徴するといわれています。25年が、新たな価値を生み出し、未来に向けて持続可能で力強い一歩を踏み出す年となるよう、決意を新たに取り組んで参ります。

澤田純副会長(日本電信電話会長)

澤田純副会長

24年は世界90カ国で重要な選挙が行われ、現状への不満と不安から、多くの国で政権交代等が起こりました。米国では、トランプ前大統領の再登板が決まり、自国ファーストの施策が展開されようとしています。

こうした動きへの対応には、自由貿易主義を起点とする従来のやり方では不十分で、バイアスを取り除き、自由主義と保護主義のハイブリッドへと舵を切る決断力とリーダーシップが求められます。日本はTPPを進めつつ、二国間交渉にも真剣に臨むべきです。国内では、本質的な課題解決に向け、国土計画の見直し、DX・GX・ロボット化の推進、原子力発電所の再稼働・新増設等を進める必要があります。

日本が今後も世界に貢献するには、安全保障と国際競争力の強化を目指した国の自立化、そして同志国との協力関係を強化することが重要だと思います。

25年も様々な変化が予想される年です。より良い社会を目指すため、経済合理性に加え、安全保障や利他を考え、自らも取り組んで参ります。

垣内威彦副会長(三菱商事会長)

垣内威彦副会長

24年の「選挙イヤー」の結果は総じて現職に厳しく、明るい見通しが立たない現下の世界情勢を反映したものでした。各国は内向き志向を強め、経済活動と政治動向がますます不可分になることが予見されます。

そのなかで、エネルギー・技術・内需の全てを持つ米国との関係が、日本産業にとって決定的に重要になります。国民の不満を体現するトランプ新大統領、一方で国際秩序の重要性を理解する官僚機構がどのような政策を実行するか、この二面性をよく見極めることが肝要です。事業展開に当たって、各国・各地域で受け入れられるのか、それをいかに担保するのか、日本企業にも真の国際感覚が問われています。

国内でも、安価・安定的な電源の確保は、日本の産業が世界との競争に生き残るための必要条件であり、原発の活用やLNGの長期安定確保の必要性は論をまちません。

こうした課題に対し、経団連の一員として提言・発信を継続していきたいと考えています。

泉澤清次副会長(三菱重工業社長)

泉澤清次副会長

24年はエネルギーと防衛に関する具体的な議論が進んだ年になりました。経団連はエネルギー基本計画への提言をまとめましたが、原子力は必要不可欠なエネルギー源として位置付けられ、利活用と研究開発が推進されることになります。また、防衛産業も防衛のための基盤であることが明確にされ、持続可能な事業とするための施策が進められています。

25年はこれらを具体化していく年と思います。特に技術・産業立国を目指すわが国にとってエネルギーの安定・安価な供給は必要不可欠であり、意思決定から稼働までの期間を考えると待ったなしと言わざるを得ません。原子力は再稼働に加えて、リプレイスや新設が進められるように後押しをしていく必要があると考えます。

そして、これらを確実に進めていくためには、人材の育成が必須です。これまでの枠組みに捉われずに産学官が連携して取り組むことが重要と考えます。25年も引き続き、皆様のご支援・ご指導をよろしくお願いします。

野田由美子副会長(ヴェオリア・ジャパン会長)

野田由美子副会長

いま、グリーンへの逆風が吹いています。環境政策で先頭を走る欧州でも、ロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー価格高騰で、環境より生活優先を求める国民の声が高まっています。資本市場では、ESG投資への疑問が投げかけられ、第2次トランプ政権による米国のパリ協定からの再離脱も目前に迫ります。

しかしグリーンは、人類が不退転の決意で立ち向かうべき挑戦だったはずではなかったでしょうか。科学者たちの警告を待たずとも、熱波、山火事、洪水、巨大ハリケーンが世界を襲うなか、私たちは地球の異変を肌身で実感しているはずです。

「良き祖先になれるのか」。21世紀を生きる私たちに突きつけられている問いかけです。先達から受け継いだ遺産のうえに繁栄を築いてきた私たちは、次の、さらにその次の世代へ、何を残すことができるのでしょうか。

世界が混迷を深める今だからこそ、目先の出来事に右往左往するのではなく、未来を見据え、皆様と共に歩みを進められることを願っています。

亀澤宏規副会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)

亀澤宏規副会長

わが国経済は賃上げや設備投資の増加など前向きな動きが広がるなか、金融でも本格的に金利のある世界に近づきつつあるなど、新たなステージを迎えています。我々民間企業は、生産性と潜在成長力の向上に向けた投資を加速し、長期停滞からの脱却をリードすることが求められます。

ただし、日本の経済社会がダイナミズムを取り戻すためには、国民の間に根強く残る将来への不安を解消し、公正で誰もがチャレンジしたいと思える社会を実現することが不可欠です。この先、日本は大きな制約の時代に突入しますが、新たな四半世紀の始まりに向けて、現在の経済社会を持続可能な形にデザインし直す必要があります。

世界に目を転じてみても、物価高のなかで現状に不満を抱えた各国の国民が内向き志向を強めつつあり、国際情勢も不透明化が予想されます。こうした今こそ、日本が分断された社会をつなぐ役割を果たしながら、新たな価値創造をてこに明るい未来を切り開けるよう、私も努力する所存です。

長澤仁志副会長(日本郵船会長)

長澤仁志副会長

24年の出生数が初めて70万人を下回る見込みで、少子高齢化と人口減少が社会保障や地域経済に深刻な影響を及ぼしています。40年には高齢化がピークを迎えるため、今から未来社会のグランドデザインを官民で共有し、具体的施策を実行する必要があります。

25年は政治面でも重要な変化が予想されます。米国は第2次トランプ政権が発足し、関税引き上げや脱炭素政策の変化の影響が懸念されるなか、米中関係の緊張、ウクライナやパレスチナの問題、グローバルサウスの台頭など国際情勢が不安定化・複雑化しています。このようななか、日本は国際社会から信頼され選ばれる国を目指し、国際経済秩序の維持と強化に努めるべきです。

24年12月に発表した「FD2040」は、日本が抱える社会課題に対する六つの施策を提案しました。これらは官民の連携はもとより、国民の理解を得ながら社会全体で取り組む必要があります。一つひとつ丁寧に発信し、将来世代が希望を持ち続けられる社会の実現に尽力して参ります。

髙島誠副会長(三井住友銀行会長)

髙島誠副会長

歴史的な選挙イヤーとなった24年、英国で政権が交代し、日本とフランスでは少数与党となりました。25年も米国で新政権が始動し、ドイツでは総選挙を控えるなど、政治的に不透明な状況がしばらく続きます。

こうした時こそ、民間が成長に向け取り組みを加速させる必要があり、経団連に期待される役割も大きいと考えます。

経団連では24年12月、新たな中期ビジョンである「FD2040」を取りまとめ、科学技術立国と貿易投資立国の実現を掲げました。日本企業がわが国経済の再成長を牽引し、グローバルに存在感を発揮していくためにも、金融面からのサポートは欠かせません。

25年も、資産運用立国の実現、社会課題解決に向けたインパクト投資の拡大等を通じて、日本の金融の力を高めていけるよう努力して参ります。

4月はいよいよ大阪・関西万博が開幕します。日本の技術・魅力の発信を通じて、経済活性化の起爆剤となることはもちろん、国際社会での日本の存在感向上につながることを期待します。

兵頭誠之副会長(住友商事会長)

兵頭誠之副会長

24年はまさに「選挙の年」でした。主要各国で政治情勢が大きく変化し、社会・経済環境の不確実性が高まるなか、世界的な分断が進むと、経済成長の下押し圧力につながりかねません。特に政策の変化は企業活動に大きく影響するため、25年も一層注意を払う必要があります。

このような環境下でも私たちは、復興、防災、人口減少や地方創生、気候変動対応など、様々な社会課題の解決に取り組みながら、所得増と消費の加速というモメンタムを持続し、「成長と分配の好循環」を確実に進めなければなりません。

また、厳しい時勢であるからこそ、企業・政府・地域など全てのステークホルダーが自らの立ち位置を踏まえ、強みを生かし連携して、国際競争力を強化することを戦略的に考え行動することが大切です。視野を国内に閉ざさず、国内外を俯瞰したうえで思考を巡らせることも必要です。25年が日本のさらなる成長に向けた改革着手の年となるよう、共に努力を重ねて参りましょう。

吉田憲一郎副会長(ソニーグループ会長)

吉田憲一郎副会長

欧州・中東で地政学リスクが高まり、中国経済が減速、また、多くの国・地域で政権交代が行われ、国際情勢の不透明感が増すなか、25年も引き続き経営者として多元的な不確実性に直面する年と認識しています。

こうしたなか、日本経済や企業の成長の基盤はやはり人です。当社では成長のための投資の大半は「のれん」を含む無形固定資産としてバランスシートで認識しています。こうした資産としての価値は、実質的に人や組織が持つ経験や知恵、そして、情熱に宿ると思っています。

こうした人々の活力を経済成長につなげるためには、一人ひとりの生産性を上げていくことが重要です。とりわけ、より付加価値の高い産業、例えばデジタル、グリーンなどに人材のシフトを促す取り組みが大事だと感じています。

企業経営においても、人々が創造性を発揮できる環境を整えることが必要です。経団連会員企業各位からの多様な学びを生かして、引き続き取り組んで参ります。

久保田政一副会長(経団連事務総長)

久保田政一副会長

24年は欧米諸国をはじめ多くの国で政権交代が起き、25年は世界的に政治の流動化・不安定化が進む年になりそうです。わが国においても、衆議院で自民党と公明党の連立政権が少数与党となり、不透明な政治情勢が続くことを覚悟する必要があります。

このような時こそ、経団連は会員企業の公正な意見を基に政策を立案し、その実現に努めることが重要です。当面の課題としては、賃金引き上げのモメンタムを「定着」させるとともに、原子力をはじめとする安価で安定的な脱炭素電源の確保が挙げられます。

また十倉会長のリーダーシップのもと、24年12月に「FD2040」を取りまとめました。これは少子高齢化・人口減少、資源を持たない島国、という二つの制約を抱え、いかに「公正・公平で持続可能な社会」を実現するかの成長戦略です。25年はこのビジョンを具体的に推進する初年度と位置付けたいと思います。

引き続き、会員の皆様のご理解とご支援を賜りますよう、お願いします。


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