経団連モビリティ委員会の十倉雅和委員長、豊田章男委員長、有馬浩二委員長は10月26日、岸田文雄内閣総理大臣、西村康稔経済産業大臣、斉藤鉄夫国土交通大臣、新藤義孝新しい資本主義担当大臣をはじめ、政府のモビリティ政策を担当する閣僚らと、「ジャパンモビリティショー2023」の会場を視察した後、モビリティの将来について懇談した。
冒頭、西村大臣が、自動車を取り巻く世界の五つの潮流((1)EVシフトの加速(2)中国の台頭(3)「多様な道筋」の追求(4)世界各国の投資囲い込み競争(5)モビリティ産業の重要性)と自動車政策の方向性について、斉藤大臣が、物流・人流の供給確保に向けた取り組み(物流・地域公共交通における自動運転、物流の標準化等)を紹介した。
これに対し、十倉委員長は、「諸外国では投資囲い込みの政策が進んでいるが、今こそ、自由で開かれた国際秩序の維持、公正な市場の構築が必要」と述べ、時代にそぐわない規制・制度をスピード感をもって見直すよう求めた。そのうえで、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)などへの大胆な投資を官民連携で推進し、日本国内に立地する企業、日本に投資する企業が共に活躍できる環境の整備が重要だと強調した。
有馬委員長は、(1)GX・DXなど国内投資支援、とりわけ中堅・中小企業への支援(2)GXを推進するうえでの独占禁止法の基準の明確化やルールの柔軟化――などを提言した。
豊田委員長は、モビリティ産業はお客さまとダイレクトにつながっており、「未来のど真ん中にはお客さまの笑顔がある」と指摘。「未来は政治だけでも、民間企業だけでもつくれない」「民間企業の間には、協力し合おうという機運が高まっている一方で、困りごとや悩みもある」と述べ、国と民間企業との連携に期待を示した。
その後、新藤大臣から、社会実装に向けた戦略分野への投資等を後押ししたいとの発言があった。最後に岸田首相は、他国に負けない投資環境の整備、中堅・中小企業の投資の後押し、GX投資に伴う企業間連携の独禁法に関する課題への対応等の要望や、物流2024年問題の克服、半導体・蓄電池等の重要物資の確保などは「いずれもわが国の最重要課題」と述べ、「デフレ完全脱却に向け、官民力を合わせ、力を尽くしていきたい」と締めくくった。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】