1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2023年10月26日 No.3610
  5. ISSA 5000の概要

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月26日 No.3610 ISSA 5000の概要 -金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース

経団連は9月27日、金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォースをオンラインで開催した。国際監査・保証基準審議会(IAASB)ボードメンバーの甲斐幸子氏から、8月に公表された公開草案「国際サステナビリティ保証基準(ISSA 5000)『サステナビリティ保証業務の一般的要求事項』」の概要について、説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ ISSA 5000が公表された背景

サステナビリティ情報については、その重要性から、開示基準だけでなく保証基準においても、世界中で使用される共通ルール(グローバル・ベースライン)の迅速な開発を求める声が高まっている。こうした状況のなか、IAASBは保証基準を「短期プロジェクト」と「長期プロジェクト」に分けて開発する方針を定め、まずはサステナビリティ情報の包括的な保証基準としてISSA 5000を開発し、続いてISSA 5000にひも付く個別の基準を開発することとした。

■ ISSA 5000の特徴

(1)迅速性を重視した基準開発

ISSA 5000の開発にあたっては、迅速性を確保するため、既存の基準である「監査及びレビュー業務以外の保証業務(ISAE 3000)」や「温室効果ガス報告に対する保証業務(ISAE 3410)」等を活用した。また、財務諸表監査の基準である「国際監査基準(ISA)」についても、サステナビリティ保証に適合するよう適宜修正のうえ、ISSA 5000に盛り込んだ。さらに、サステナビリティ保証基準の観点から追加すべき要素については、六つの優先事項、すなわち、(1)保証水準(限定的保証か合理的保証か)(2)報告規準の適合性(3)保証業務の範囲(4)保証業務における証拠(5)内部統制(6)保証業務提供者が適用する重要性――を定めて詳細な検討を行い、ISSA 5000に具体的な項目として追加することとした。

(2)グローバル・ベースライン

グローバル・ベースラインとなるサステナビリティ保証基準がなければ、各法域において、統一性のない保証基準が乱立することとなり、実務も統一性を失う。IAASBは、ISSA 5000をグローバル・ベースラインとすべく、(1)保証水準(限定的保証か合理的保証か)(2)適用する報告基準(国際サステナビリティ基準審議会〈ISSB〉や企業サステナビリティ報告指令〈CSRD〉など)(3)報告メカニズム(統合報告書やアニュアルレポートなど)(4)地域・国の固有性(5)保証業務提供者の特性(会計士か非会計士か)――などによらず幅広く適用できる基準として取りまとめた。

IAASBは、ISSA 5000の公開草案のコメントを12月1日に締め切った後、あらゆるステークホルダー(保証業務提供者、情報作成者、投資家、基準設定主体、規制当局等)とも適宜適切に連携しながら、2024年内の最終化を目指す。

◇◇◇

意見交換では、同公開草案に関連して、国・地域の固有性に関する取り扱い、ISSA 5000と今後開発が予定される個別基準との関係性等に関して意見およびコメントがあった。

【経済基盤本部】

「2023年10月26日 No.3610」一覧はこちら