経団連は9月19日、東亜経済人会議プレ・ミーティングをオンラインとのハイブリッド形式で開催した。台湾の東亜経済協会からは黄教漳理事長、黄茂雄名誉理事長をはじめ57人、東亜経済人会議日本委員会からは飯島彰己委員長をはじめ68人が参加した。
三菱総合研究所海外事業本部の河村憲子アジア事業グループリーダー、台湾経済部の陳佩利 工業局副局長による講演の後、意見交換を行った。講演の概要は次のとおり。
■ 台湾のスタートアップとの連携(河村氏)
国際経営開発研究所(IMD)の調査によれば、近年、台湾はデジタル分野の国際競争力ランキングにおいて順位を上げ、特にデータ利活用の面で日本に先行している。これは、蔡英文総統が積極的に進めてきたデジタル化推進策も一助となっているといえる。デジタル分野における人材育成やスタートアップの振興にも注力しており、台湾のスタートアップ全体に対する投資額は年々増加している。
また、蔡総統が掲げる新南向政策のもと、対外直接投資先について中国偏重を是正し、ASEANおよびインドへの分散を進めている。台湾企業はASEANのなかでは特にベトナムでの存在感を高めており、そのなかには台湾のスタートアップが参画する事例もみられる。日本企業が、ASEANやインドなど第三国において新たな市場を開拓する際のパートナーとして、デジタル分野に強く、経営判断が速い台湾のスタートアップと連携する機会が広がれば、日台協力の強化と多様化が期待できる。
■ 多様な分野で互恵的関係の強化を(陳氏)
台湾経済は製造業に牽引されており、とりわけ、コロナ禍における世界的な半導体の供給不足等を背景に、多くの関心を集めるようになった。現在、台湾は米国、日本、EUなど世界各国へと半導体関連投資を拡大している。逆に、台湾の半導体関連産業に対しても、米国や日本を含む各国の企業による投資が増加している。半導体の製造工程は複雑であり、最先端の製品を製造するには、日本と台湾の強みを最大限に活かすことが効果的である。日台の多くの企業はこの分野ですでに協力関係を深めているが、今後一層連携する余地が大きく残されている。
脱炭素に関しては、日本と同様の目標である「2050ネットゼロ排出ロードマップ」を策定しており、今般その補助策を公表した。環境政策のほか、経済安全保障などに関し、日本の政策に学んでいきたい。また、サプライチェーンの強靭化、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)においても、日本との互恵的な関係を強化したい。
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今回のプレ・ミーティングの成果を踏まえ、経団連は東亜経済協会と緊密な連携を維持・強化し、2024年3月に台北で開催する第51回東亜経済人会議に向けて準備を進めるとともに、日台経済関係の強化に引き続き取り組んでいく。
【国際協力本部】