経団連(十倉雅和会長)は9月11~15日、出雲充審議員会副議長・スタートアップ委員長と郡司典子企業行動・SDGs委員会企画部会長を共同団長とし、18社31人から成るSDGsミッションを、2019年以来4年ぶりに米国ニューヨークおよびサンフランシスコに派遣した。
23年は、30年のSDGs達成に向けた折り返し地点にあたる重要な年である。9月18、19の両日には、ニューヨークの国連本部で、SDGs 17目標の進捗状況のレビューを目的に、各国首脳が参加したSDGサミットが開催された。
今回のミッションでは、各訪問先で、経団連および日本企業のSDGs達成に向けた取り組みについて紹介したうえで、SDGサミット直前のSDGs進捗に関する最新状況や今後の課題、連携のあり方について、国連幹部や国際機関と対話を深めた。また、サステナビリティーへの取り組みやAI倫理等を含む課題への対応について、イノベーションをリードするテック企業と活発に意見交換した。概要は次のとおり。
■ SDGsの進捗と日本企業への期待
「国連SDGs進捗報告書2023」によれば、SDGsの目標のうち、順調に進んでいるものはわずか15%にすぎず、37%は行き詰まっているか後退している。SDGsは危機にひんしている。
ナビド・ハニフ国連経済社会局事務次長補は、SDGs達成のために投資を必要としている国々に投資が行われないことが課題であるとし、年間5000億ドルのSDGs刺激策や国際金融機関改革の必要性を指摘した。そのうえで、日本企業に対して、社会を変えるチャンスとしてSDGsへの投資を呼びかけるとともに、日本企業が持つ技術やイノベーション、知見の活用に大きな期待を寄せた。
アヒム・シュタイナー国連開発計画(UNDP)総裁からは、日本がSDGsを国民的議論とする過程で、経団連が「Society 5.0 for SDGs」を通じてリーダーシップを発揮してきたことへの謝意が示された。さらに、経団連との覚書(MOU)に基づき、協働をさらに強化したいとの発言があった。
■ ビジネスと人権への取り組み
SDGsの達成と表裏一体の関係にある人権の尊重について、米国国際ビジネス評議会(USCIB)から、国家が負う人権保護の義務を多国籍企業に転嫁しようとする動きがみられることへの懸念が示された。
民間のサステナビリティー推進団体であるBusiness for Social Responsibility(BSR)から、近年急速に注目を集めているAIと人権の問題は、データの収集と開発、販売、使用の全段階で起きるため、その責任は、AIを開発する側のテック企業とAIを利用するユーザー側の両方にあるとの説明があった。
<主な懇談先>
- 国際機関
- 国連グローバル・コンパクト(UNGC)、国連児童基金(UNICEF)、ハニフ国連経済社会局事務次長補、UNDP
- 日本政府
- 石兼公博 国連日本政府常駐代表特命全権大使
- 民間組織
- Global Impact Investing Network(GIIN)、USCIB、BSR、国際会計基準(IFRS)財団
- 企業
- Morgan Stanley Capital International(MSCI)、Google、Uber、Box、Salesforce、Autodesk
【SDGs本部】