経団連のアメリカ委員会(澤田純委員長、早川茂委員長、植木義晴委員長)は9月12日、米国ミネソタ州のティム・ウォルズ知事一行の来日の機会をとらえ、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。ウォルズ知事と同州雇用・経済開発省(DEED)のマット・バリレック長官による説明の概要は次のとおり。
日本企業が50社以上進出しているミネソタ州は、米国のビジネス専門メディアCNBCが発行する「ビジネスに最適な州ランキング」(2023年版)において、5位に浮上した。DEEDは、州経済を成長させ、州民がその繁栄の恩恵を受けられるようにすることを使命としている。進出企業に対しては、ビジネスの成功と雇用創出を支援するツールや、その従業員を支援するツールなどを提供している。
先般、同州を米国で最も家族を育てやすい場所とするため、手ごろな価格の保育と幼児教育へのアクセスの拡大に資する歴史的な投資を行った。これは子どもたちのためだけでなく、親たちが就労に参加できるようにするためでもある。また、新生児との絆を深める、あるいは家族の介護・看護をできるよう、有給の家族・医療休暇を制度化した。このような取り組みは競争上の優位性を持ち、有能な労働者、起業家、企業をよりひき付けることとなろう。加えて就労者への経済的支援として、住宅、公共交通機関、公立学校にも投資を行うとともに、低所得世帯の若者には低廉なコミュニティーカレッジや職業訓練を提供するなど、画期的な取り組みを推進している。
気候変動への取り組みも強化している。40年までに、一定の条件下で、100%カーボンフリーの電力供給を州内の電力会社に義務付ける法律を制定した。さらに、航空業界の脱炭素化のため、各業界の大手企業が中心となって大規模な持続可能な航空燃料(SAF)ハブを設立した。原料の調達から加工、精製、混合、ミネアポリス・セントポール国際空港での使用に至るまで、統合されたバリューチェーンを開発することにより、安価かつ低炭素のSAFを生産する。再生可能な作物を原料として、商業的に実用可能な超低炭素SAFを生産するうえでの科学的・技術的な課題に取り組むため、大学や民間企業の研究を支援する。
進出した日本企業がミネソタ州の今を切り開いていることを誇りに思い、拍手を送りたい。
【国際経済本部】