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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月5日 No.3607 現代消費者の動向とサステイナブルな消費志向 -消費者政策委員会企画部会

牛窪氏

経団連は9月14日、東京・大手町の経団連会館で消費者政策委員会企画部会(楯美和子部会長)を開催した。インフィニティの牛窪恵代表取締役から、現代消費者の動向とサステイナブルな消費志向について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ Z世代と「意味(イミ)」消費

時代や生まれ育った社会環境、文化によって、消費者の価値観や幸福の概念は異なり得る。例えば、Z世代は、幼少期からリーマン・ショックや東日本大震災等の危機や災害を経験しており、行動より前に、失敗に備えてリスクヘッジする傾向がみられる。また、消費行動や人間関係において、意味合いやつながりを意識する、デジタル機器を活用して効率良く情報を取得しようとする、仕事の場でSDGsに関わりたいと希望する人が多い、といった特徴がある。

若年層にとっての「意味」は大きく2種類ある。一つは「周囲とつながれる」「誰かの役に立つ」「SDGsにつながる」といった正への期待感、もう一つは「ゴミにならない」「周りに迷惑をかけない」「メンテナンスに苦慮しない」といった負の払拭である。負の払拭は重要な観点であり、若年層の消費行動や人間関係、恋愛離れといった価値観そのものに通じている。

■ 意味消費の広がり、購買行動の現状

コロナ禍を経て、若年層の「消費の意味」を追求する志向が、上の世代や社会全体に浸透したと感じる。社会や誰かのために貢献することで、「行動してよかった」という「意味」を感じる傾向が高まっている。例えば、SDGsの認知度は、コロナ禍で大きく上昇している。他方、先進層だけでなく、より一般にサステイナブルな消費の裾野が広がるなか、昨今の物価高騰等の影響もあり、商品価格にシビアな声が増えている。また、サステナビリティーそのものでなく、「ポイントがもらえる」「商品の割引が受けられる」といった実利的な側面をきっかけに、サステイナブルな消費を実践する人も存在する。

■ 消費者との共創・協働

サステイナブルな消費のように、消費者が「意味」や文脈を重視して商品・サービスを選ぶ時代においては、ブランド価値や製品仕様等の客観的価値を訴求するだけでなく、消費者が「意味」や効果を実感できるようなマーケティングが求められる。例えば、生産過程のストーリーの提示や、消費者との協働等を通じて、消費者と価値を共創し、つながりや貢献意識を刺激することが重要になる。

消費者と価値を共創するためには、社会課題の解決を実現するような技術実装とあわせて、顧客目線での楽しさ(共感)やつながりとともに、企業の透明性を確保し、信頼に資する情報を提供することが欠かせない。

◇◇◇

説明後、サステイナブルな商品・サービスの提供における消費者・従業員への成果(例=現場)の可視化、安心に資する情報提供の重要性、建前と本音の存在を踏まえた消費者行動の調査のあり方等について意見が交わされた。

意見交換後、同部会において報告書「サステナブルな商品・サービス選択の推進~共感・応援消費を通じた社会課題解決」を取りまとめ、消費者政策委員会に諮ることとした。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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