経団連の國分文也日本NIS経済委員会ウクライナ経済復興特別部会長は9月5日、来日中のアンドリー・サドビー ウクライナ・リヴィウ市長一行と懇談した。冒頭、サドビー市長は、これまでの日本のウクライナに対する人道・財政支援への感謝を述べるとともに、今後のウクライナ復興に対する日本の支援や日本企業の参画への期待を示した。市長一行の発言概要は次のとおり。
■ 「UNBROKEN」プロジェクト
リヴィウ市は人道的ハブとなっており、これまで負傷したウクライナの兵士・市民を1万3千人以上受け入れるとともに、現在も国内からの避難者が15万人生活している。その状況のなか、「UNBROKEN」と名付けたプロジェクトを計画している。医療、リハビリ、義肢製造のほか、仮設住宅、戦争帰還者のための仕事の提供等、総合サービスを提供するものである。このなかで日本が関係する二つのプロジェクトが進行している。一つは、日本の建築家である坂茂氏による新しい外科病棟の設計・建設であり、もう一つは、日本赤十字社が支援するリハビリセンターの改築である。これらの施設には日本の医療機器・設備を設置したいと考えており、支援してほしい。
■ インフラ再建プロジェクトへの参画依頼
リヴィウ市は現在、水インフラや交通網を再建するプロジェクトを進めている。特に交通網の整備は、リヴィウ市を中心に、ポーランドだけでなく、バルト海側、黒海側をも結ぶことを目指す非常に大型の案件である。交通インフラの更新、増強が必要であり、ぜひ日本企業の経験を共有してもらいたい。ウクライナの復興プロジェクトにはさまざまな投資機会があり、世界中から多くの企業が参加すると予想される。日本企業にとって戦時下のウクライナへの訪問は難しいと承知しているが、日本の経済界をリヴィウ市に招待したいと考えている。今後の二国間での会議やイベントを通じてリヴィウ市と日本企業とのコラボレーションの機会を創出したい。
【国際経済本部】