経団連の日本NIS経済委員会ウクライナ経済復興特別部会(國分文也部会長)は7月10日、東京・大手町の経団連会館で第1回会合を開催した。外務省の中込正志欧州局長、経済産業省の松尾剛彦通商政策局長から、ウクライナ復興に関する日本政府の取り組みや今後の方針に関する説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ ウクライナ復興会議(URC23)に関する報告(中込氏)
2023年3月に岸田文雄内閣総理大臣がウクライナを訪問した。ウクライナ側は、これまでの日本の支援に対する感謝の意とともに、日本企業による投資への期待を強く示した。
これを受け、同年5月に木原誠二内閣官房副長官を議長とする「ウクライナ経済復興推進準備会議」が設置された。同会議では、邦人の安全確保やウクライナのビジネス環境の整備を大前提に、わが国の知見や経験を活かした「日本ならでは」の復興支援策をオールジャパンで検討していく。
このようななか、6月21~22日に英国・ロンドンで開かれたウクライナ復興会議(URC23)には、400社以上の企業が参加し、民間投資の促進が主要テーマとなった。日本からは林芳正外務大臣が出席し、23年末から24年初めの適切なタイミングで「日ウクライナ経済復興推進会議」を東京で開催する方針を表明した。その開催に際しては、経団連、民間企業にも参加してもらい、両国間交流ならびに投資促進の契機としたい。
国際的には、戦争継続中も投資を行うことが必要との議論もあるが、日本政府としては、退避勧告を出しているなかで、邦人の安全確保を第一にしつつ、さまざまな工夫をしていきたい。また、ウクライナ側にも、汚職・腐敗対策といった改革にしっかりと取り組んでもらうよう求めたい。
■ 日ウクライナ官民ラウンドテーブルに関する報告(松尾氏)
URC23にあわせ、外務省、経産省、日本貿易振興機構(ジェトロ)の共催のもと、日ウクライナ官民ラウンドテーブルを開催し、二国間の協力のあり方について意見交換した。
同ラウンドテーブルには、ウクライナ政府から、スヴィリデンコ第1副首相、シュルマ大統領府副長官が参加し、インフラ、電力、重要鉱物資源開発などの分野への投資を呼びかけた。戦時下ではあるものの、ウクライナの経済的な潜在力は高く、日本企業にはビジネス進出先として認識してほしいと強調していた。また、ウクライナ企業からも、エネルギー分野、農業・食料分野に加え、投資・金融分野、ITテクノロジー分野での日本との連携を期待する旨が述べられた。日本側は、政府機関(国際協力銀行、日本貿易保険、国際協力機構、エネルギー・金属鉱物資源機構)の支援スキームを説明したほか、スタートアップ企業の現地における取り組みを紹介した。経団連からは、ウクライナ経済復興特別部会の立ち上げ等について報告があった。「日本ならでは」の支援を実施し、一緒にできることをプロジェクトとして落とし込んでいくために、企業の皆さまには、同部会において、Project orientedな認識を持って、積極的に議論されることを期待している。スタートアップ企業との連携も含めて、経済界から広く参加してほしい。
日本政府としては、官邸のリーダーシップのもと関係省庁が一体となってウクライナ復興に取り組む。経団連とも引き続き連携していく。
【国際経済本部】