経団連は3月14日、「循環型社会形成自主行動計画~2022年度フォローアップ調査結果(2021年度実績)」を取りまとめ、公表した。
■ 調査結果の概要
(1)産業廃棄物の最終処分量
21年度の産業廃棄物最終処分量の実績は、約391万トンであった。基準年である00年度(約1810万トン)から約78.4%減少しており、第5次目標(25年度に00年度実績比75%程度削減)を達成する結果となった(図表参照)。
21年度の産業廃棄物の最終処分量は、前年度比で約43万トン(約12.4%)増加している。業種別にみると、最終処分量削減の目標を掲げる32業種のうち19業種が前年度比で増加となった。
これは、コロナ禍による経済活動の停滞からの回復に伴う生産量の増加をはじめとする企業活動の活発化に加え、重要インフラの老朽化や都市部の再開発の本格化による建設工事の増加が影響したためと考えられる。
一方で、各業種における産業廃棄物の減容化や3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取り組みも進んでおり、13業種では前年比で減少した。
(2)資源循環に関する業種別独自目標
この他、資源循環全般について、業種ごとの特性や実情に応じた「資源循環の質の向上を視野に入れた業種別独自目標」を設定し、循環型社会の形成に取り組んでいる。
21年度は、41業種が業種ごとに設定した独自目標に向けて取り組み、着実に成果を挙げている。
(3)業種別プラスチック関連目標
海洋プラスチック問題への国内外の関心の高まりを受けて、19年度から「業種別プラスチック関連目標」を設定し、業種ごとに海洋プラスチック問題の解決やプラスチック資源循環の推進に貢献する目標を掲げ、取り組みの充実を図っている。
22年度は40業種から、83のプラスチック関連目標が表明された。
■ 今後の課題等
人口増加や経済成長に伴う資源制約に加え、カーボンニュートラル(CN)をはじめとする環境保全への要請が高まるなか、循環型社会形成に向けた取り組みの推進は、世界全体でますます重要性を増している。とりわけ、資源小国であるわが国は、引き続き取り組みを促進していく必要がある。
また、資源制約の克服や幅広い環境問題の解決への取り組みを経済成長や産業競争力強化につなげ、産業政策として「循環経済(サーキュラー・エコノミー、CE)への移行」を目指すべきとの指摘もなされている。
経団連は、第5次目標を含む三つの目標を掲げ、わが国経済界の自主的取り組みを推進する。加えて、経済界の考え方である「サーキュラー・エコノミーの実現に向けた提言」(2月16日号既報)の着実な実行に向け、関係方面へ働きかける。こうした活動を通じ、循環型社会形成およびCEの実現を目指す。
【環境エネルギー本部】