経団連の地域経済活性化委員会(永井浩二委員長、小林哲也委員長、月岡隆委員長)は、わが国全体の持続可能性と強靱性を維持・確保する観点から、ポストコロナにおける国と地方の行政システムのあり方について検討を進めている。2月22日の会合では、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の土生栄二事務局長から、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」(総合戦略)の内容を中心に、同構想の実現に向けた政府の取り組み等を聴いた。
総合戦略は、デジタル技術を活用して地方創生を加速・深化し、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指すものである。デジタル技術を活用した各地域の優良事例の横展開を加速するとともに、これまでの地方創生の取り組みも、蓄積された成果や知見に基づき、改善を加えながら推進することとしている。
具体的には、地方が抱える社会課題をデジタルの力で解決することを目指し、「地方に仕事をつくる」などの四つの取り組みを位置付けている。あわせて、地方のデジタル実装を下支えするため、国において、デジタル実装の基礎条件整備(デジタル基盤の整備、デジタル人材の育成・確保、誰一人取り残されないための取り組み)を強力に推進する。
地方は、総合戦略を勘案しつつ、地域の個性や魅力を活かした地域ビジョンを再構築して、地方版総合戦略の改訂に努めることとしている。それぞれの地域ビジョンの実現を政府一丸となって総合的・効果的に支援する観点から、スマートシティ、スーパーシティ、「デジ活」中山間地域等のモデル地域ビジョン等を示している。加えて、地方公共団体の枠組みを超えた地域間連携を推進することも重要とした。
また、地方公共団体が地域の実情に応じ、自主的・主体的にデジタル実装を通じた社会課題の解決、地域の魅力向上に取り組めるよう、内閣府ではデジタル田園都市国家構想交付金により支援している。
これら一連の取り組みを推進するには、経済界との連携が欠かせない。企業版ふるさと納税については、寄付額・寄付件数ともに増加傾向にあるが、内閣府による企業と地方公共団体とのマッチングも含め、ぜひ企業の積極的な活用をお願いしたい。
なお、広報活動の一環として、幅広く民間企業や団体などを対象に、社会課題・地域課題の解決に取り組む事例を内閣総理大臣が表彰する「冬のDigi田甲子園」を開催している(3月9日に表彰式を開催)。
【産業政策本部】