デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)は2022年12月、アナログ規制に関する法令約1万条項を対象とする見直し工程表を公表した。また、事業者が有する技術や製品、サービス等をアナログ規制の見直しに活用すべく、規制とデジタル技術の対応関係を整理した「テクノロジーマップ」(マップ)や、アナログ規制の見直しに活用可能な企業の技術や活用事例等、詳細情報を整理した「技術カタログ」(カタログ)の整備も本格的に進められている。
こうした一連の動きを踏まえ、経団連は2月27日、「デジタル臨調の取り組みに関する説明会」を開催した。大串正樹デジタル副大臣兼デジタル臨調事務局長、デジタル庁の松田洋平参事官および須賀千鶴参事官から説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ 大串副大臣あいさつ
政府は現在、デジタル規制改革推進の一括法案(一括法案)の提出に向けて準備中である(注)。デジタル臨調では経済界の主要な要望を見直し工程表に盛り込んでいる。
今後、制度の議論と各府省庁のシステム整備への助言を両輪とし、デジタル完結に向けた手続きの見直しを進めていきたい。経済界にも引き続き具体的な要望の提供とともに、見直し機運の醸成をお願いしたい。
■ アナログ規制に関する点検・見直し(松田氏)
見直し工程表の対象のうち、約3000条項については、すでにデジタルへの対応が済んでいる。工程表では各条項の見直し完了時期を示しており、24年夏には100%の対応完了を目指す。
一方、今国会に提出することとしている一括法案では、デジタル技術の進展等を踏まえた規制の見直しが将来にわたって自律的かつ継続的に行われることを担保すべく、見直しの基本方針や具体的な施策を定めることとしている。なお、目視や常駐・専任といった、大部分のアナログ規制は政省令改正等によって見直しが可能であるが、(1)書面掲示規制(2)フロッピーディスク等の記録媒体にかかる規制――については、法改正が必要となることから、一括法案において対応することとしている。
■ マップおよびカタログの整備状況(須賀氏)
「テクノロジーマップに関するオンライン説明会」(10月13日号既報)において説明したとおり、デジタル臨調の主導により、規制を技術で代替するためのマップ、カタログ整備の取り組みが始まっている。
23年1月に情報提供を依頼したところ、大企業からスタートアップに至るまで幅広い企業72社から計350件近く、多岐にわたる技術分野の情報提供があった。これにより、規制を代替できるとは従前認識されていなかった技術・領域をマップに追加することができた。協力と情報提供に感謝するとともに、今後とも随時、情報提供に協力してほしい。
なお、技術検証が必要な条項数1043について、規制の趣旨や確認したい安全性の目的等を踏まえ、現時点で14の案件に類型化が可能である。この類型に沿って、23年4月から府省庁横断的に技術検証を開始する。検証が不要な技術を含め、今夏までにマップ初版を策定・公表した後、冬ごろにかけて順次、結果の取りまとめ、公表を目指す。
(注)3月7日、閣議決定・国会提出された
デジタル規制改革推進の一括法案
https://www.digital.go.jp/laws/2567b640-d579-488c-a512-57f51e70ed3f/
【産業技術本部】