経団連は1月30日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、小堀秀毅副会長(旭化成会長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第27回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。64人の女性役員が出席し、講演を聴くとともに意見交換した。講演の要旨は次のとおり。
■ 経営者としての視点
旭化成は創業100年企業であり、サステイナブルな経営に向けて、経営者として、(1)守り続けるもの(2)大切にするもの(3)変化・強化するもの(4)新たに取り組むもの――を心がけてきた。皆さんがこれからさまざまなポストや新しい仕事にアサインされた時には必ず、今までどうだったのかを含めて、こうした視点から物事をみることが重要と思う。変化・強化することや、新たに取り組むことは、チャレンジングであり、責任や結果も問われるため勇気がいる。また、「やめる」勇気も必要になる。現在のようにVUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)といわれる環境の変化が大きく不確実性が高い時代に、スピード感をもって経営を行うことが求められる。
■ すべては人から、終身成長
厳しく変化する環境下で企業が生き残るには、専門性を持った人財の集団となり、成長していくことが大切である。当社は、企業活動の源泉は人財であるとの考えのもと、「すべては人から、終身成長」をキーワードとして、人財が継続的に成長していくためのさまざまな仕組みをつくっている。特に、年功序列や終身雇用ではなく、終身成長につながっていく施策・制度を順次打ち出している。自分の得意分野を通じて、どうすれば会社に貢献できるかを考え成果を出すことで、会社から任される業務量が増え、人が集まり、マネジメントを行う必要が生じるという好循環がもたらされる。
■ 情熱を持ち、議論し、行動を
私の好きな言葉に“Discussion Leads to Conclusion(議論は結論を導く)” “Passion Leads to Action(情熱は行動を導く)”というものがある。ある種の方向付けが必ずディスカッションのなかから生まれ、新たにみえてくるものがある。また、組織のメンバー一人ひとりのやる気や情熱の総和が、その組織全体の活力となる。やる気や情熱を引き出し、多様な視点を持った人財とディスカッションしながら連携を深め、具体的な行動につなげていくことが、グループスローガンに掲げる“Creating for Tomorrow(昨日まで世界になかったものを)”につながる。
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講演後、リーダーシップやその心構えなどについて活発な意見交換が行われ、小堀副会長から多岐にわたるアドバイスが送られた。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】