1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2023年1月19日 No.3575
  5. 都市・住宅分野のカーボンニュートラルに向けて

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年1月19日 No.3575 都市・住宅分野のカーボンニュートラルに向けて -都市・住宅政策委員会

経団連は12月14日、都市・住宅政策委員会(菰田正信委員長、髙下貞二委員長、大久保哲夫委員長)をオンラインで開催した。国土交通省の石坂聡大臣官房審議官から、カーボンニュートラル(CN)の実現に向けた住宅・建築物分野における政府の取り組みについて、また、三菱総合研究所の羽生哲也執行役員ならびに小川崇臣サステナビリティ本部シニアコンサルタントから、業務・家庭部門におけるCNに向けた取り組みについて、それぞれ説明を聴いた。説明の概要は次のとおり。

なお、経済界全体で都市・住宅分野のCNに向けた機運醸成を図る観点から、同会合には日本商工会議所の関係者も参加した。

■ 国土交通省

政府は、2050年CNおよび30年度温室効果ガスの13年度比46%削減の実現に取り組んでいる。業務・家庭部門は、エネルギー消費の約3割を占めることから、建築物の省エネ対策の加速、吸収源対策となる木材の建築物への利用促進が重要な課題である。

省エネ対策の強化のため、政府は25年度からすべての新築の建築物に省エネ基準への適合を義務付ける。現状、新築建築物の9割程度は省エネ基準に適合している。他方、2050年CNを見据えると、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)水準への適合率の向上が必要である。30年までには、省エネ基準のZEH・ZEB水準への段階的な引き上げが見込まれている。

既存の建築物については、ヒートショックの防止など健康や快適な暮らしの観点からも、省エネリフォームが期待される。国交省、経済産業省、環境省の3省が連携し、住宅の断熱性の向上に資する改修や高効率給湯器の導入など省エネリフォームへの支援策を強化している。活用してほしい。

また、木材利用の拡大に向けて、中大規模の建築物への木材利用の促進が期待される。建築物に木材を利用する際の構造・防火に関する規定の合理化、中大規模木造建築物の整備への補助事業を進めている。

■ 三菱総合研究所

2050年CN実現等のCO2排出削減目標の達成に向けて、業務・家庭部門では、新築対策、既存の建築物の改修、再生可能エネルギーの活用、技術革新など、さまざまな対策を総動員する必要がある。また、削減対策の各項目がCO2の排出削減にどの程度貢献するのかを認識しておくことは、効果的・効率的に対策を進めていくうえで重要である。

調達、施工、運用、解体といった建築物のライフサイクルのなかで、CO2排出量の7割以上は運用段階が占める。そのため、運用段階に着目すると、30年までの期間では、既存の建築物の改修によるCO2排出削減効果が、新築対策による削減効果を上回ると見込まれている。他方、50年までの期間では、新築対策による削減効果が顕著に大きくなると考えられている。なお、いずれの期間についても、省エネ対策だけではCO2排出削減目標を達成できない。系統電力の排出係数改善や電力需要家による再生可能エネルギーの調達が必要となる。

【産業政策本部】

「2023年1月19日 No.3575」一覧はこちら