経団連の南アジア地域委員会(平野信行委員長、深澤祐二委員長)は12月5日、2022年の日印国交樹立70周年の機会をとらえて来日したインド工業連盟(CII)の代表団一行と共に、東京・大手町の経団連会館でビジネスラウンドテーブルを開催した。双方から27人が出席した。
■ インドは最も有望な事業展開地域
~ビジネス環境整備が重要
開会にあたり、平野委員長は、「インドは最も有望な事業展開地域の一つである」としたうえで、「インドの高いポテンシャルを現実のものとするには、インドにおいて予見可能性の高いビジネス環境を整備することが重要である」と指摘した。これに対し、サチット・ジェインCII訪日団代表は、日本企業によるインドへの積極的な投資への期待に加え、日印双方の優位性、強みを融合させることによる日印経済連携の成功に対し期待を表明した。
■ 製造業のスマート化のカギはデジタル人材
~ビジネスモデル転換と生産性向上を推進
第1セッションでは、製造業のスマート化をめぐり意見交換した。日本側から、スマート化の目的が、事業の効率化からビジネスモデルの転換に変化してきていると報告した。そうしたなか、高度な技能を有する人材の採用・育成が不可欠になっており、インドが有する豊富なデジタル人材への期待を表明した。インド側からは、製造業のウエートが増した一方、製造現場の生産性は低い水準にとどまっている。引き続き、スマート化による改善に取り組んでいるとの報告があった。
■ インドの国柄を踏まえたグリーン成長における連携に大きな可能性
第2セッションでは、持続可能な経済発展に向けたグリーン成長のための連携について議論した。日本側から、先進諸国とは異なるインド独自のCO2削減のためのエコシステム構築の可能性に言及した。また、インド側からは、脱炭素社会の実現には、技術開発とともに社会実装に必要な資金の供給が必要であり、各分野における日印協力の可能性は大きいとの指摘があった。
■ 自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に共に取り組む
第3セッションでは、貿易投資の促進について意見交換した。日本側から、デジタル分野での日印連携の可能性について指摘があり、同セッションにおいてもインドのデジタル人材の活用に関する具体例を示した。また、自由で開かれた国際経済秩序を維持・強化するため、23年に、わが国が議長国を務めるG7、インドが議長国となるG20を通じ、日印が協力して取り組むことが重要であるとの認識を共有した。さらに、インドのビジネス環境の改善に向けて、インド経済界の協力が不可欠との考えを表明した。インド側は、スタートアップや中小零細企業に対する投資拡大に高い期待を示した。
<意見交換>
その後の意見交換では、深澤委員長が、気候変動問題への対応にあたっては、必要な投資の確保とそのための環境整備に官民一体で取り組むべきであり、その際、企業は、より長期的視点に立った投資判断が必要であると言及した。インド側からは、サプライチェーンに関して、信頼できるパートナーとの協力が必要であり、その意味で、日本はインドにとってベストフレンドであるとの考えを示した。
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経団連は、日印首脳会談に合わせて開催している「日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム」やB20サミットなど、さまざまな機会を通じて、今後も日印経済関係の強化に取り組む。
【国際協力本部】