1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2022年12月15日 No.3571
  5. 「企業行動憲章 実行の手引き」を改訂

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年12月15日 No.3571 「企業行動憲章 実行の手引き」を改訂 -社会性の視座に立脚した企業行動の実践

経団連(十倉雅和会長)は12月13日、「企業行動憲章 実行の手引き」(「実行の手引き」)を5年ぶりに全面改訂し、公表した。

■ 「実行の手引き」の位置付け

民主導による豊かで活力ある社会を実現するためには、企業が高い倫理観と責任感を持って行動することが必要との観点から、経団連では、「企業行動憲章」を制定し、会員企業に、その精神の尊重ならびに実践を呼びかけている。「実行の手引き」は、会員企業が自社の業種・業態、事業の特徴、経営理念等を踏まえて、企業行動憲章の精神を自主的に実践するための参考資料である。

■ 改訂の背景

2017年の企業行動憲章改定では、「持続可能な社会の実現を牽引する企業の役割」として、Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成、すなわち「Society 5.0 for SDGs」を明確化した。

その結果、前回の改定以降、SDGsの経営への統合は、金融資本市場における意識の高まりと相まって、着実に進展している。

一方、気候変動や生態系崩壊の危機など地球環境問題の深刻化や、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済・社会への構造的影響、行き過ぎた株主資本主義のもとで進行していた格差の拡大、ロシアのウクライナ侵略による世界平和と安全保障への脅威など、世界は、複合的な危機に直面している。

このような環境変化のなかで、複合的な危機を克服して持続的に発展していくには、企業行動のバージョンアップとその加速が必要となる。そこで、憲章改定後の国内外の動きや、それに伴う経団連の政策と活動、企業の実践を踏まえ、企業行動憲章の「序文」ならびに「実行の手引き」を改訂することとした。

■ 改訂のポイント

企業行動憲章が求める企業行動の今日的な意義を示す「序文」では、今回、副題を「サステイナブルな資本主義の確立を目指して」とし、社会性の視座に立脚した企業行動の実践について記述している(各章における改訂のポイントは図表参照)。具体的には、次の3点の行動を求めている。

  1. (1)人権を尊重し、働き方の変革と人への投資を行いつつ、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて社会的課題の解決を目指し、社会や個人のウェルビーイングの向上に貢献すること。

  2. (2)多様なステークホルダーとの新たな価値の協創によって、持続的な成長を実現すること。

  3. (3)自社のみならず、グループ企業、サプライチェーンにも行動変革を促すことで、持続可能性と強靱性を確保し、世界で起きているさまざまな危機に対応すること。

改訂の背景/章改訂ポイント
改訂の背景
  • 企業を取り巻く環境
    • 求められる複合的な危機への対応
    • SDGsの進捗状況
    • 人間の安全保障〔コラム〕
    • サステナブル・ファイナンスの拡大
  • サステイナブルな資本主義の確立を目指す、経団連の「。新成長戦略」
第1章
持続可能な経済成長と
社会的課題の解決
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)
  • スタートアップ振興
  • AI倫理の遵守〔コラム〕
第2章
公正な事業慣行
  • 取引適正化によるサプライチェーン全体の共存共栄関係の構築
    • 「パートナーシップ構築宣言」等の趣旨を踏まえた、適正な取引
第3章
公正な情報開示、
ステークホルダーとの
建設的対話
  • 株主・投資家等との建設的な対話に資する適切な情報開示
    • コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードの再改訂
  • ステークホルダーとの対話・協働に向けた情報開示、双方向での継続的な対話
第4章
人権の尊重
(2021年12月改訂、今回、
その後の動きを踏まえ
さらに改訂)
  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿った取り組み
  • 人権デュー・ディリジェンスの実施
  • 人権侵害の未然防止と是正
第5章
消費者・顧客との
信頼関係
  • 持続可能な消費と生産〔コラム〕
  • 消費者・顧客の多様性に配慮した商品・サービスの提供
    • 障害者差別解消法改正…「合理的配慮の提供」の義務化
第6章
働き方の改革、
職場環境の充実
  • エンゲージメント向上に資する環境整備、働き方改革
  • DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)
  • 人への投資
    • 従業員の主体性を尊重してスキルアップ等の支援
第7章
環境問題への取り組み
  • カーボンニュートラル、グリーントランスフォーメーション(GX)
  • 環境統合型経営の推進
    • 事業活動への気候変動対策、資源循環(サーキュラーエコノミー)、生物多様性保全などの幅広い環境活動の取り込み
第8章
社会参画と発展への
貢献
  • 社会的課題解決に資するビジネスと社会貢献活動の相乗効果
  • エンゲージメント向上の視点からの従業員の社会参加支援
第9章
危機管理の徹底
  • 経済安全保障の確保〔枝番項目の移動・新設〕
第10章
経営トップの役割と
本憲章の徹底
  • 経営トップのリーダーシップと責務
    • 価値創造と企業倫理〔枝番項目の整理〕
    • 取締役会による実効性の高い監督
  • サステナビリティ経営(サステナビリティを経営に組み込む)
  • インパクト評価、SDGインパクト〔コラム〕

会員各位におかれては、改訂された「実行の手引き」を参考に、企業行動憲章の趣旨に則った企業行動をお願いしたい。

【SDGs本部】

「2022年12月15日 No.3571」一覧はこちら