経団連と北陸経済連合会(北経連、金井豊会長)は11月17日、富山市内で「第49回北陸地方経済懇談会」を開催した。経団連からは十倉雅和会長、冨田哲郎審議員会議長をはじめ副会長らが、北経連からは金井会長をはじめ会員約110人が参加し、「『スマート・リージョン北陸』を目指して~サステイナブルな地方創生を実践する」を基本テーマに意見交換した。
冒頭の開会あいさつで北経連の金井会長は、「2030年代中ごろの北陸のありたい姿として、『スマート・リージョン北陸』を掲げ、『北陸の1人当たり域内総生産水準の引き上げ』と『多様性と一体性の両立』の目標達成に向けた取り組みを進めている」と述べ、経団連との懇談に大きな意欲をみせた。
続いて、経団連の十倉会長は、「経団連は『from the social point of view』(社会性の視座)、科学的・論理的・客観的な視点に立ちながら、『サステイナブルな資本主義の実践』に向けて努力する」との意気込みを述べた。そのうえで、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、経団連が推進する具体的な施策について、北経連による協力・支援を呼びかけた。
■ テーマ1「スマート・リージョン北陸に向けた社会基盤整備の促進」
社会基盤整備に関して、北経連からの問題提起に対し経団連から、
- (1)社会インフラは、国土の保全とともに、市民の日常生活や企業の事業活動を支える基盤として不可欠である。デジタル技術や新技術を大胆に取り入れ、社会資本整備を進める必要があるとの考えのもと、政府における「社会資本整備重点計画」の策定に向けた提言を取りまとめた(永野毅副会長)
- (2)GXは今後のわが国の成長戦略の中核となるもの。投資拡大を通じた持続可能な成長へとつなげていくことが重要であり、取り組みを着実に推進していきたい(太田純副会長)
- (3)地域経済の活性化に向けた地域の主体的な取り組みならびに幅広い連携を後押しするため、「地域協創アクションプログラム」に基づいた活動を引き続き進めていく(永井浩二副会長)
――との発言があった。
■ テーマ2「付加価値の向上と成長・デジタル化の推進」
付加価値の向上と成長・デジタル化の推進について、北経連からの問題提起に対し経団連から、
- (1)生活者価値の実現に向けて、わが国独自の「価値協創型DX」を打ち出し、同業種・異業種、スタートアップ、アカデミア、政府・自治体といった主体が有機的かつ自律的に協創を進めるモデルを提起した。引き続き社会全体のDXの推進を政府に働きかけていく(東原敏昭副会長)
- (2)変化の激しい時代に対応するため、生涯にわたって主体的に学び続け、未来を切り開くことができる多様な人材の育成は、極めて重要な国家的課題である。産学官の連携・協働により、わが国経済・社会の成長基盤の強化につなげていく(小路明善副会長)
- (3)企業が持続的に成長していくためには、オープンイノベーションの手法を取り入れていくことが不可欠である。知の源泉である大学が核となり、複数の企業の研究への参加を促すことで、本格的なオープンイノベーションの拠点形成を進めることが重要(篠原弘道副会長)
- (4)全国旅行支援やインバウンドの本格再開もあり、観光はようやく復活の兆しが見えてきた。各地域がそれぞれの強みを磨き上げて、観光客の受け入れを拡大し、観光ひいては地域の活性化につなげていくことを期待している(藤原清明専務理事)
――との発言があった。
■ テーマ3「ダイバーシティ&インクルージョンの促進」
ダイバーシティ&インクルージョンについて、北経連からの問題提起に対し経団連から、
- (1)インプット(労働投入)を効率化する「働き方改革・フェーズⅠ」を継続しながら、アウトプット(付加価値)を最大化する「働き方改革・フェーズⅡ」を積極的に推進する。あわせて、「パートナーシップ構築宣言」への参画を会員企業に働きかけ、中小企業に対する業務効率化の支援等を進めていく(大橋徹二副会長)
――との発言があった。
最後に、冨田審議員会議長が「各分野での取り組みは、自治体や中核企業が中心となり、そこに産学官など多様な主体が連携して進める必要がある。具体的なアクションを実行するべく、地域の皆さまと力を合わせて尽力していく」と総括した。
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翌18日、一行は、ウォータージェットポンプ等の機械装置の製造を手がけるスギノマシンを訪問。杉野良暁社長はじめ関係者から、「グローカルニッチリーダー」を目指したものづくりの精神や、イノベーションを通じて新たな付加価値の創出につなげる取り組み等について聴いた。あわせて、同社の「切る」「削る」技術等の実演を見学し、「超」の世界に挑む「超技術」について理解を深めた。
【総務本部】