経団連のサブサハラ地域委員会(大橋徹二委員長、加留部淳委員長)は11月9日、「TICAD8(第8回アフリカ開発会議)に関する報告会」をオンラインで開催した。外務省の齋田伸一アフリカ部長ならびに経済産業省の杉浦正俊大臣官房審議官から、TICAD8の模様と成果について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ TICAD8の模様
TICAD8は、8月27、28日の両日、チュニジアの首都チュニスで開催された。日本政府からは、岸田文雄内閣総理大臣がオンライン、林芳正外務大臣(総理特使)が対面で、それぞれすべてのセッションに参加したほか、中谷真一経済産業副大臣が一部会合に対面で参加した。
全体会合には、経団連から大橋・加留部両委員長、アフリカ48カ国から首脳級20人、AU議連、国際機関、民間企業、市民社会等が参加した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)主催のサイドイベント「TICAD8ビジネスフォーラム」には、日本企業約100人、アフリカ企業約100人、アフリカ経済閣僚、開発金融機関、日本の公的機関等約100人、総計約300人が参加。その際に行われたMOU(Memorandum of Understanding)式典においては、日本企業・団体がアフリカ各国等と今回締結した92件の協力覚書のうち、33件が披露されるなど全体として盛会であった。
■ 巨大な潜在力を有するアフリカ=共に成長するパートナーとして連携推進
今回採択したチュニス宣言では、アフリカの潜在力が世界の成長の原動力であり、人への投資が一層重要であること、多国間主義の重要性、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のビジョンに好意的に留意すること等が表明された。
加えて、日本はアフリカと共に成長するパートナーであることを強調し、今後3年間で官民合わせて総額300億ドル規模の資金を投入する旨、表明した。また、国際ルール・スタンダードを遵守した公正かつ透明な開発金融の重要性を指摘するとともに、官民による40億ドルの「アフリカ・グリーン成長イニシアティブ」を打ち出した。
今後、投資協定等の締結を通じて、日本企業のアフリカビジネスのリスクを低減するとともに、アフリカ側の関心も高いグリーン分野等において、JCM(二国間クレジット制度)等を活用しつつ、協力関係を構築していきたい。
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懇談では、大橋委員長、加留部委員長から、TICAD8を踏まえ、今後のTICADプロセスの改善に関する日本政府への要望として、(1)アフリカ経済戦略会議の内閣総理大臣主宰への改編(2)TICADの日本開催の恒久化(3)3年ごとに開催されるTICADの中間年におけるフォローアップ会合のアフリカでの開催(4)TICADプロセスへの民間の一層の関与――に言及した。これに対して政府側からは、これまでの経緯も念頭に、引き続き、民間からの意見も聴きながら、検討していきたいとの発言があった。
【国際協力本部】