経団連の労働法規委員会労働法企画部会(田中憲一部会長)は10月13日、厚生労働省に対し、官公庁取引における長時間労働につながる商慣行の改善を要請した。ペーパーレス・はんこレスなどにより改善はみられるものの、依然として長時間労働につながる商慣行が残っているとの会員企業からの声を踏まえたもの。前回2021年6月に引き続き(21年6月24日号既報)、今回で3度目となる。
田中部会長と電機・電子・情報通信産業経営者連盟の堀内智専務理事の連名による要請文を、同省の鈴木英二郎労働基準局長に手交した。意見交換において田中部会長は、21年7月に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に、行政機関との取引における長時間労働につながる商慣行の改善に向けて取り組む旨が盛り込まれたことに謝意を表した。そのうえで、「政府の働き方改革への日ごろの取り組みにより、官民取引においても、デジタル化を通じた効率化が進んでいる。民間取引でも引き続き対応するが、この勢いをさらに加速すべく、政府においても要請内容を踏まえた対応をあらためてお願いしたい」と要望。堀内専務理事は、「長時間労働の削減に対するトップの意識は高いが、現場レベルでの浸透は不十分である。政府にはさらなる改善をお願いしたい」と期待を寄せた。
鈴木局長は、「一部では改善が進んでいるが、長時間労働につながる商慣行が依然として残っていることをあらためて認識した。現場とも課題を共有し、商慣行の改善がさらに進展するよう努める」と答えた。
要請内容は、前回と同様、(1)取引全般(2)契約成立前(3)契約締結・履行時――に分類。具体例として、提出書類の簡素化・ペーパーレス化、年間を通じた発注量の平準化、追加作業を生じさせないための具体性を備えた仕様書・要件定義書の作成、発注内容変更時の納期の見直し・料金への反映などを記載した。
【労働法制本部】