経団連は10月11日、「副業・兼業に関するアンケート調査結果」を公表した。同調査は、経団連会員企業における副業・兼業に関する取り組み状況やその効果などを把握するため実施したもの。経団連企業会員275社が回答した(回答率18.2%)。概要は次のとおり。
■ 社外での副業・兼業を認めている企業割合
2022年時点において、回答企業の70.5%が、自社の社員が社外で副業・兼業することを「認めている」(53.1%)または「認める予定」(17.5%)と答えた。常用労働者数5000人以上では、「認めている」(66.7%)または「認める予定」(17.2%)の合計は8割を超える(図表1参照)。
副業・兼業を認める企業は、19年以降に急増している。背景には、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(18年公表、20・22年改定)や「モデル就業規則」を公表・改定したことや、コロナ禍においてテレワークが普及し、副業・兼業をしやすい環境が整ったことなどが考えられる。
■ 社外での副業・兼業を認めたことによる効果
副業・兼業は、本業以外のさまざまな仕事を通じたスキルアップや地域社会に貢献したいといった、社員の多様な就労ニーズを満たす施策として注目を集めている。副業・兼業を認めたことによる効果については、「多様な働き方へのニーズの尊重」(43.2%)と「自律的なキャリア形成」(39.0%)を挙げる企業が多かった。また、社員の自律的なキャリア形成支援に積極的に取り組んでいる企業ほど、副業・兼業を「認める」または「認める予定」と回答する割合が高い。こうした企業においては、副業・兼業を社員の自律的なキャリア形成に寄与する施策として位置付けていることがうかがえる(図表2参照)。
■ 社外からの副業・兼業人材の受け入れ
社外からの副業・兼業人材の受け入れについては、回答企業の30.2%が「認めている」または「認める予定」と答えた。社外への社員の送り出しとは異なり、常用労働者数300人未満の企業で、「認めている」または「認める予定」の合計が37.7%と高い。社外から副業・兼業人材を受け入れることの効果については、「人材の確保」(53.3%)、「社内での新規事業創出やイノベーション促進」(42.2%)、「社外からの客観的な視点の確保」(35.6%)が上位を占め、企業における必要な人材の確保策として、副業・兼業者の受け入れを図っていることが明らかとなった。
【労働法制本部】