経団連は8月1日、厚生労働省雇用環境・均等局の石津克己雇用機会均等課長を招き、女性活躍推進法省令改正に関する説明会をオンラインで開催した。会員企業から約630人が参加した。概要は次のとおり。
女性活躍推進法は、女性の職業選択に資するよう、企業に女性の活躍に関する情報公表を促している。このたび同法の省令を改正して、その情報公表の項目に「男女の賃金の差異」を追加し、常用労働者数301人以上の事業主に公表を義務付けた(7月8日施行)。公表の義務付けについては、6月7日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に盛り込まれていた。なお、常用労働者数101~300人以下の事業主については公表を義務付けるのではなく、情報公表する項目の一つの選択肢となる。常用労働者数100人以下の事業主は、これまで同様、努力義務が適用される。
■ 「男女の賃金の差異」の算出方法
自社の労働者の「男性」「女性」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」を、「男性・正規」「女性・正規」「男性・非正規」「女性・非正規」の4種類に分類し、それぞれについて、直近の事業年度の賃金と人員数を算出する。なお、賃金は、基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等は除いても差し支えない。人員数については、男女で異なる考え方をしないこと、初回の公表以降、一貫性ある方法を採用することが求められる。
算出した賃金をそれぞれの人員数で除し、平均年間賃金を算出する。さらに、それらをもとに、「全労働者・男性」「全労働者・女性」の年間平均賃金も算出する。その後、「正規」「非正規」「全労働者」ごとに、「女性の平均年間賃金/男性の平均年間賃金」の算式で割合(パーセント)を算出し、これを公表する。
■ 公表時期
各事業主において、各事業年度が終了し、新たな事業年度が開始した後、速やかに公表する。「速やかに」の意味は、各事業年度が終了した後、概ね3カ月以内である。例えば、事業年度4月~3月の事業主の場合、2023年3月末の事業年度終了以降、概ね3カ月以内なので6月ごろまでに公表する。なお、施行日が22年7月8日であることから、事業年度8月~7月の事業主は今年の10月をめどに初回を公表することになる。
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説明後、石津課長から「男女の賃金の差異の情報公表の目的は、男女の賃金に差異があった場合に、その要因について各事業主が主体的に分析し、今一度、女性の活躍に関する取り組みを推進することである。情報公表を取り組み推進につなげてほしい」と指摘があった。
【労働法制本部】