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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年7月28日 No.3554 非財務情報開示の充実および四半期開示の見直しをめぐる動向 -金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース

廣川氏

経団連は7月6日、金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォースを開催した。金融庁企画市場局の廣川斉企業開示課長、園田周国際会計調整室長、上利悟史開示企画調整官から、「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」について、説明を聴くとともに意見交換した。廣川氏による説明の概要は次のとおり。

■ ディスクロージャーワーキング・グループ報告の概要

金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(DWG)は、6月に報告書を公表した。

同報告書では、主として、(1)非財務情報開示の充実(2)四半期開示の見直し――について、今後の方向性を整理した。(1)については、早ければ今秋にも企業内容等の開示に関する内閣府令の改正案を示し、パブリック・コメントを行う。(2)については、DWGでのさらなる検討の後に、2023年の通常国会において、金融商品取引法改正法案の提出を見込む。

■ 非財務情報開示の充実

(1)サステナビリティ情報開示の充実

まず、核となるサステナビリティ情報を有価証券報告書に記載することができるよう、有価証券報告書に、サステナビリティ情報の「記載欄」を新設することとした。「記載欄」には、国際的なフレームワークと同様に、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の四つの構成要素に基づいて開示することを求める。「ガバナンス」と「リスク管理」はすべての企業が開示することとし、「戦略」と「指標と目標」は各企業が重要性を判断して開示する方向で取りまとめた。

サステナビリティ項目のうち、(1)「人的資本」については、「人材育成方針」「社内環境整備方針」を「記載欄」に開示すること(2)「多様性」については、「男女間賃金格差」「女性管理職比率」および「男性育児休業取得率」を「従業員の状況」において開示すること――をそれぞれ求めている。

(2)「コーポレートガバナンス」「重要な契約」の開示の充実

「コーポレートガバナンス」に関する開示については、「取締役会、指名委員会・報酬委員会の活動状況」の「記載欄」を追加する。

「重要な契約」については、特に、「企業・株主間契約」「ローン・社債のコベナンツ」等について、具体的に開示要件・開示内容を定めて開示を求める。

■ 四半期開示の見直し

金融商品取引法の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化する旨の方向性を示した。

一本化の具体化に向けた課題(義務付けのあり方、開示内容、虚偽記載に対するエンフォースメント、監査法人によるレビュー等)については、DWGにおいて検討を継続する。

◇◇◇

意見交換では、「サステナビリティ情報の充実に関しては、情報の有用性とコスト負担の費用対効果を充分に考慮して、開示ルールを定めるべき」「金融商品取引法の四半期開示義務(第1・第3四半期)の廃止の方針には賛同するが、通年監査の高度化や任意開示の拡充等を踏まえ、将来的には、第2四半期報告書の開示義務の撤廃も検討すべき」といった意見が出された。

◇◇◇

説明の後、会合では、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が公表した「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項案」および「気候関連開示基準案」の公開草案について、同タスクフォースとしてのコメント案を審議した。

【経済基盤本部】

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