経団連は5月17日、提言「アフリカの内発的・持続的発展に貢献する~TICADを超えてアフリカの真のパートナーへ」を公表した。今年8月にチュニジアで開催されるTICAD8(第8回アフリカ開発会議)を控え、わが国が官民連携のもとでアフリカの成長に貢献するための具体策を示している。概要は次のとおり。
■ 巨大な潜在力を備え、成長に向けて自ら歩を進めるアフリカを伴走支援
アフリカは、長期的に人口の大幅な増加と中間所得層の拡大が予測されており、経済発展の大きなポテンシャルを備えている。また、豊富な鉱物資源を有し、経済安全保障上の重要なパートナーになり得る。
アフリカ諸国は、次の50年を展望した「Agenda2063」を2015年に採択し、経済社会の変革を通じた内発的・持続的な発展に向けて、自ら歩み始めている。わが国として、こうしたアフリカの取り組みを伴走支援していく必要がある。
提言では、今後のアフリカ戦略を考えるうえでの基本的方向性として、(1)アフリカが直面する社会課題の解決に貢献すること(2)官民が連携し、わが国とアフリカとの関係を、中長期的に、これまでの「援助」中心から「ビジネス」中心へと転換すること(3)アフリカの発展を牽引する人材を重層的に育成すること(4)経済統合を進めるアフリカを「自由で開かれたインド太平洋」のパートナーと位置付け、経済連携を強化すること――を掲げている。
■ ビジネスの基盤となる三つのインフラ整備の重要性を強調
日本企業のアフリカビジネスを促進させるための具体的施策として、まずは、ウィズ/ポストコロナ期におけるアフリカでの社会経済活動の促進とビジネスの予見可能性の確保が不可欠である。そのうえで、ハード、ソフト、ヒューマンの三つのインフラ整備が重要である。
ハード・インフラについて、アフリカでは、道路、港湾・空港、電力、水道等の整備が十分に進んでおらず、社会発展や経済成長のボトルネックとなっている。わが国として、相手国のニーズと実情を踏まえ、質の高いインフラの整備に官民一体で取り組む必要がある。ソフト・インフラでは、わが国とアフリカとの間で、FTA/EPA、投資協定、租税条約等の政府間協定の締結が必須である。各種協定の早期締結をはじめ、アフリカ諸国におけるビジネス環境改善につながるソフト・インフラの整備が求められる。ヒューマン・インフラでは、基礎教育を徹底したうえで、政府幹部、企業管理職や幹部、技術者、技能工など階層別の教育を実施する。これらを通じて、重層的なアフリカ人材の育成を支援する必要がある。
■ 分野別の社会課題解決を推進、政府の司令塔機能の一層の強化を
これら三つのインフラ整備を通じ、ヘルスケア、グリーン、フード&アグリ、ロジスティクス、デジタルの分野で、アフリカが抱える社会課題の解決に協力し、「Agenda2063」やSDGsの実現に貢献していくことが求められる。
また、わが国における推進体制として、現在、内閣官房副長官が議長を務める政府のアフリカ経済戦略会議を、内閣総理大臣主宰とし、経済界を含む官民一体でアフリカ戦略のPDCAを回す司令塔として機能強化を図る必要がある。
【国際協力本部】