経団連は3月2日、デジタルエコノミー推進委員会(篠原弘道委員長、井阪隆一委員長)を開催し、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」について小林史明デジタル副大臣から説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ デジタル社会実現に向けた重点計画
デジタル社会の実現に向けた重点計画は、デジタル社会の形成のため、政府が重点的に実施すべき施策の基本方針を定めたものである。わが国の目指すデジタル社会の姿やデジタル原則を明示するとともに、司令塔であるデジタル庁の取り組みや、各省庁のシステム整備等も盛り込んでいる。
わが国は「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」の実現を目指しており、そのためには、以下の6つの取り組みが必要である。
(1)デジタル化による成長戦略
ビジネスや投資が円滑に行われるよう、規制改革や産業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。また、土地・不動産、法人関係のデータの活用に向けて、地方公共団体を巻き込んでオープンデータの整備を進める。(2)医療・教育・防災・子ども等の準公共分野のデジタル化
医療分野では、レセプト(診療報酬明細書)データとの連携を行う。健康保険証とひも付いたマイナンバーカードの利用によって、マイナポータル上でのレセプトデータの閲覧や、より効率的な医療連携を可能にする。(3)デジタル化による地域の活性化
デジタル技術で都市と同様の利便性を感じられる地域をつくり出すためには、海底ケーブルやデータセンター等のインフラ整備が重要である。これらを全国に分散設置することで、自然災害等に対するレジリエンスを高めていく。(4)誰一人取り残されないデジタル社会
約1万人の支援員を全国の高齢者施設や公民館に配置し、デジタル機器に不慣れな利用者がデジタルサービスを利用できるよう支援する。また、銀行ATM等の窓口からさまざまな行政手続きができるようにする。(5)デジタル人材の育成・確保
高校生1人につき1台端末の整備を進めていく。また、社会人のリカレント教育を充実させるため、地域の大学や高専、企業の協力のもと、オンラインコンテンツを拡充する。(6)DFFTの推進をはじめとする国際戦略
現在の国際情勢をみると、DFFT(Data Free Flow with Trust)の重要性はますます高まってきている。今後も多国間や1対1の国際会合において、日本主導でDFFTを推進する。
■ デジタル原則
昨年、押印の廃止を実現するために、「押印」という言葉が入っている法律等、約50本を一括改正した。このように、アナログな手段に限定する国の法律を抜本的に見直さなければ、デジタル社会は実現しない。約1万本の法律を検索したところ、5000条項にも及ぶアナログ規制の候補が見つかっており、今後これらを点検・見直していく。
【産業技術本部】