経団連は2月25日、令和3年改正個人情報保護法の政令・規則および公的部門ガイドライン案に関する懇談会をオンラインで開催し、個人情報保護委員会事務局の伊藤秀夫企画官から説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ 令和3年改正個人情報保護法のポイント
改正のポイントは2点ある。1つは、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法を1本の法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化することである。これまで個人情報保護三法が並立していたことに加え、都道府県・市町村ごとに個人情報保護条例を規定し、条例の解釈・運用のあり方が異なっていたため、官民や地域の枠を超えたデータの利活用に十分に対応できていないことが課題となっていた。このような現行法制の不均衡・不整合を是正し、個人情報保護とデータ流通の両立を図ることを目的として、個人情報保護法を改正した。
もう1つは、学術研究にかかる適用除外規定を一律の適用除外ではなく、義務規定ごとに精緻化したことである。GDPRの十分性認定(※1)への対応も視野に、国際的制度調和を図ろうとするものである。
■ 政令・規則・公的部門ガイドライン案の改正点
政令事項としては、一部の地方独立行政法人(※2)が行政機関等と同様の安全管理措置を講ずべき業務(※3)に関する規律等について改正している。
規則事項としては、地方公共団体の機関や地方独立行政法人における漏洩等報告・本人通知の対象となる事態として、条例要配慮個人情報(※4)の漏洩等を新たに含むこととするなどの改正を行っている。
公的部門ガイドラインに関しては、条例要配慮個人情報、死者に関する情報の開示、個人情報保護法と条例との関係等について改正している。個人情報保護法では、死者に関する情報は個人情報に該当しないこととされている。
■ 政令・規則・公的部門ガイドライン改正の施行スケジュール
今回の政令・規則・公的部門ガイドライン案は、実施中の意見公募手続きの結果も踏まえて改正版を取りまとめ、公布・公表する予定である。なお、施行日については、個人情報保護法の地方関係の改正とあわせて2023年4月1日を目途に検討している。
(※1)個人データの移転先の国・地域で個人データの十分な保護措置が確保されているかどうかを欧州委員会が審査し、認定すること
(※2)主として試験研究等を行う法人、公立大学・病院を運営する法人
(※3)例えば、医療観察法に基づく指定入院医療機関としての業務
(※4)地方公共団体の機関または地方独立行政法人が保有する個人情報(要配慮個人情報を除く)のうち、地域の特性その他の事情に応じて、本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取り扱いに特に配慮を要するものとして地方公共団体が条例で定める記述等が含まれる個人情報
【産業技術本部】