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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年2月24日 No.3534 多様な機能を有するODAは重要な外交ツール -開発協力推進委員会政策部会

山﨑氏

経団連は2月1日、開発協力推進委員会政策部会(台和彦部会長)を開催した。外務省国際協力局の山﨑文夫開発協力総括課長から、ODAをめぐる現状と今後の課題について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ ODAの現状

ODAは日本にとって最も重要な外交ツールの一つであるが、予算は1997年をピークにほぼ半減し、国際機関への拠出金も減少している。加えて、コロナ禍でODAに厳しい視線が注がれている。わが国の国際社会および国際機関における発言力の低下が懸念される。

近年ODAは、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現や質の高いインフラシステムの海外展開、SDGsの達成等、主要な外交課題において役割を果たしている。ODAに対する途上国の期待も大きいが、予算には限りがある。そのため、政策目的およびわが国の強みを踏まえた選択と集中を通じて、民間投資を促すことや、国際協力銀行等の公的金融とシームレスに連携していくことが重要である。

■ 新型コロナに積極的に対応

昨年8月までの二国間支援および国際機関を通じた支援(COVAXファシリティを含む)は、約4300億円に上る。具体的には、途上国の一人ひとりにワクチンを届ける「ラスト・ワン・マイル支援」、強靱かつ包括的な保健システムの構築などが挙げられる。また、新型コロナウイルスによる事業の一時中断、ポストコロナにおける社会変容についても対応している。新型コロナを受けて、対中債務の状況が悪化している途上国が増加しており、今後の動向を引き続き注視していく。

■ 拡大傾向にある海外投融資

無償資金協力予算は過去10年間ほぼ横ばいである。他方、円借款供与額は過去数年で大幅に拡大し、日本企業の受注割合も増加している。ただし、円借款を活用する国の数は減少傾向にある。その理由として、供与先の選定には相手国が債務返済能力を有することが前提となっており、IMFの債務持続性分析(DSA)でハイリスク国以上に分類される場合、供与は原則として困難になる。

ODA予算が減少するなか、民間資金の呼び水として海外投融資の重要性が高まっている。採算性のある事業であれば、DSAハイリスク国でも協力できる。また、融資のみならず、出資を通じた経営参画も可能である。

■ 契約の遵守を継続的に働きかけ

一部の国のODA案件において、交換公文や契約書等で非課税とする旨が規定されているにもかかわらず、課税されるケースがある。相手国政府内での情報共有不足や必要な予算の執行遅延、未措置が原因とみられている。免税措置を担保するため、関係企業・団体と連携し、在外公館を含め問題解決に向けて対応を強化している。

【国際協力本部】

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