2021年11月、デジタル改革・規制改革・行政改革にかかる横断的課題を一体的に検討し、実行することを目的に、経団連の提言を受けるかたちで、岸田文雄内閣総理大臣のもと、デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)が発足した。
そこで、経団連は12月24日、デジタル臨調に関する説明会を開催した。小林史明デジタル副大臣兼デジタル臨調事務局長、松田洋平デジタル庁参事官らが改革の方向性や経済界への期待等について説明した。概要は次のとおり。
■ デジタル時代の改革の方向性
小林副大臣は、「先進諸外国と比べて日本のデジタル化が遅れ、行政や企業の生産性が低いといわれているのは、部分的なデジタル実装にとどまっているからである。政府が反省すべきは、そもそも社会制度がデジタルに適合していない問題を放置してきたことにある」と指摘した。
そのうえで、「デジタル臨調の取り組みは、生産性の向上に加えて、新しい事業・産業を生み出すチャンスにもなる。官民が協力し、新しい政治・行政・民間のあり方をつくりたい。経団連をはじめ産業界の皆さんと共に、新たな時代を切り開けるよう、集中的に改革を進める」と決意を表明するとともに、経済界に対し、改革すべき項目の洗い出し等への協力を求めた。
■ 構造改革のための5つの「デジタル原則」
続いて松田参事官は、第2回デジタル臨調(12月22日)で策定された5つの「デジタル原則」を中心に、詳細に説明した。
松田氏はまず、デジタル社会の実現に向けた構造改革のための当該原則が、(1)デジタル完結・自動化原則(デジタル処理での完結、機械での自動化)(2)アジャイルガバナンス原則(機動的で柔軟なガバナンス)(3)官民連携原則(ユーザー目線での新たな官民連携)(4)相互運用性確保原則(システム間の相互運用性を確保)(5)共通基盤利用原則(官民で広くデジタル共通基盤を利用)――から成る旨を説明。「今後、4万以上の法令・通達等と2万以上の行政手続きについて、当該原則への適合性を点検したうえで、22年春に一括見直しプランを取りまとめたい」と政府の方針を示した。
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デジタル庁が各府省と連携し、法令や通知・通達、独立行政法人の規律等を含め、あらゆる規制の点検作業を進めるなか、経団連は全会員を対象に、デジタル利活用にあたり直面する問題やデジタル化の遅れによって生じている課題等を抽出すべく、アンケートを実施した(実施期間=21年12月24日~22年1月21日)。
経団連は、Society 5.0の実現に不可欠な日本の経済社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)という観点から、アンケート結果を踏まえた提言等を通じて、デジタル臨調の取り組みを積極的に後押ししていく。
【産業技術本部】