経団連は12月22日、消費者政策委員会企画部会(楯美和子部会長)を東京・大手町の経団連会館で開催し、消費者庁の吉村紀一郎消費者教育推進課長から、サステイナブルな消費の推進に向けた消費者政策について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
政府では、持続可能な社会の実現に向けて、第4期消費者基本計画に基づき、人や社会、環境に配慮した消費行動である「エシカル消費」を推進している。消費者庁では、学校教育で活用できる教材やパンフレットの作成、エシカル消費特設サイトなどを通じて、エシカル消費をわかりやすく説明するとともに、身の回りで実践できる取り組みの例などを発信している。特に、昨今は「サステナブルファッション」と食品ロス削減に重点を置いている。
衣服は製造に際して大量の水を消費する一方、多くの衣服が廃棄されている。衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスを持続可能とするには、地球環境や人、社会に配慮した「サステナブルファッション」の実践が必要である。エシカル消費特設サイトにおいて、消費者が衣服を「買う」とき、「使う」とき、「処分する」ときに気をつけるべきポイントを紹介している。
2019年度の推計によると、日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品である「食品ロス」が年間570万トン発生している。こうしたなか、19年に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、政府の基本方針のもと、自治体において、食品ロス削減推進計画の策定による取り組みが進められる一方、消費者庁も、賞味期限を過ぎてもすぐに食品を捨てることのないよう、「賞味期限」の愛称として「おいしいめやす」という言葉を使って消費者への啓発を試みている。加えて、農林水産省、環境省、日本フランチャイズチェーン協会と連携し、小売店舗において、商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」を呼びかけている。
エシカル消費という言葉の認知度はまだ低いが、近年はやや高まっている。19年に消費者庁が実施した意識調査によると、16年調査と比較して、倫理的消費(エシカル消費)という言葉を知っていると回答した割合が約6%から約12%に上昇している。21年の物価モニター調査では、約19%が、コロナ禍を契機に、エシカル消費の実践の機会が増加したと回答した。
多様な課題の解決につながるエシカル消費に、1つからでも取り組むことで、消費者も持続可能な社会に貢献できる。今後も消費者庁として、消費者の取り組みの推進を働きかけていきたい。
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意見交換後、委員間で、特定商取引法の「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン(案)」に対する回答案を審議し、公表した。
―パブリックコメントの募集に対する回答
https://www.keidanren.or.jp/policy/2021/120.html
【ソーシャル・コミュニケーション本部】