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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年1月20日 No.3529 TCFD提言をめぐる動向 -金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース

藤村氏

経団連は12月17日、金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォースを開催した。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)メンバーである藤村武宏三菱商事サステナビリティ・CSR部長から、「TCFD提言をめぐる動向」について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ TCFD開示の概要

TCFDは、2015年12月に、FSB(金融安定理事会)のもとに設置された国際的な組織であり、17年6月に、気候関連の任意開示のフレームワークであるTCFD提言を公表した。

TCFD提言は、気候変動が会社に与える影響についての開示に着目している。具体的には、(1)ガバナンス(気候関連のリスクと機会にかかる企業のガバナンス)(2)戦略(企業の事業・戦略・財務計画に気候関連のリスクと機会がもたらす影響)(3)リスク管理(気候関連リスクを企業がどのように識別・評価・管理しているか)(4)指標と目標(気候関連リスクと機会を評価・管理する際に用いる指標と目標)――の4項目の開示を推奨している。

TCFD提言に基づいて開示することで、投資家のニーズに沿った説明が可能となるのみならず、自社の事業や戦略の気候変動に対する耐性を検証することができる。さらに、気候変動対応を「経営課題」としてとらえることも可能となろう。

■ TCFD開示の最近の状況

21年12月時点の全世界でのTCFD賛同企業・機関の数は、2825に上り、直近2カ月で200以上増加した。各国の開示義務化やISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の設置等の国際動向が後押しした。日本のTCFD賛同企業・機関数も、同年12月時点で618に達し、10月から100近く増えている。コーポレートガバナンス・コードの改訂により、プライム市場でTCFD開示と同等の開示が求められることが大きく影響した。

具体的な開示内容に関して、リスクと機会の特定等については多くの企業で開示が進んでいる一方で、シナリオ分析や統合的リスク管理への組み込みを開示している企業の割合は低調である。気候変動の財務的インパクトについて、TCFDの「2021 STATUS REPORT」に掲載されたアンケートによれば、企業の約20%がすでに開示済みとし、多くの利用者もその開示が有用だと回答している。

■ ガイドラインの公表等

TCFDは、21年10月に、「指標と目標」についての新たなガイダンスを公表した。新たなガイダンスでは、「指標と目標」において7つの具体的指標が提示され、特に温室効果ガス(GHG)排出量については、全企業が、自社のGHG排出量を意味する「Scope1.2」を開示すべきとされた。一方で、自社以外のサプライチェーンにおけるGHG排出量を意味する「Scope3」には重要性の基準を適用する一方で、「開示を強く推奨する」とされた。

IFRS財団は、11月3日にISSBの設立を公表するとともに、今後開発する基準の基礎となる「気候関連開示に関するプロトタイプ」を公表した。プロトタイプでは、TCFDが求める4つの開示項目に従って開示すべき内容を規定している。10月に公表されたTCFDの新たなガイダンスの内容も盛り込まれ、企業の対応難度が高い内容となっている。

【経済基盤本部】

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