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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年1月13日 No.3528 全米各州探訪(12)~アイオワ州、カンザス州、ミズーリ州 -新・ワシントンレポート<12>

本連載では、米国をより深く知るため、広大な米国を構成する50州+1特別区の情報を順次ご紹介します。

34.アイオワ州

元はルイジアナ買収によって米国領となった土地の一部である。1846年に29番目の州となった。

農業が広く行われており、州の85%を耕地が占める。この比率は全米で最も高い。トウモロコシ、豚、卵の生産量で全米1位、大豆で2位につける。

盛んな農業を背景に、日本企業も進出する食品加工業が発展しており、州製造業による付加価値生産額の4分の1を生み出す。農業機械、建設機械も強い。

また、バイオエタノール、バイオディーゼルの生産量はいずれも全米最大である。風力発電比率が全米最高の42%であることも注目される。

政治的にはスイングステート(接戦州)の一つである。大統領選では、2008年、12年は民主党のオバマ氏、16年、20年は共和党のトランプ氏が勝利している。

大統領選の年には、同州党員集会が、民主・共和各党の指名候補者争いの口火を切るため、世界の注目が集まる。しかし、特に民主党内には、アイオワ州の白人有権者が83%を占めるなか、同州が候補者指名の先行きを占うことに対して批判があり、次の大統領選に向けて順番を変更しようとする動きもある。

35.カンザス州

自由州と奴隷州の対立が深まるなか、1854年、カンザス・ネブラスカ法に基づき設立されたカンザス準州を前身とする。州昇格時の住民の意向によって州における奴隷制の取り扱いを決めるとされたため、同準州には自由州・奴隷州双方から組織的に移民が派遣されることとなった。特に隣接する奴隷州・ミズーリ州からの越境者が不正投票や反奴隷派への襲撃を行ったことで、両派の対立は「流血のカンザス」「境界戦争(Border War)」と呼ばれる断続的な武力衝突にまで発展した。その名残で今日でもカンザス大学とミズーリ大学のスポーツ対戦は境界戦争と呼ばれている。最終的には、61年、南北戦争が始まる直前に自由州として連邦に加盟した。

グレートプレーンズに位置し州全体に平野が広がることから、小麦や肉牛の生産が盛んである。また、最大都市ウィチタを中心に、米国産の一般航空用航空機(自家用機、ビジネスジェット等)のうち、3分の1を製造している。

同州は、童話『オズの魔法使い』で主人公・ドロシーが暮らす地でもある。映画版で竜巻に飛ばされた後にドロシーが発するセリフ「ここはもうカンザスじゃない(not in Kansas anymore)」は、「未知の/不安な状況に置かれている」状態を言い表す慣用表現として使われることがある。

政治的には長年にわたり、共和党の牙城である。大統領選では1968年以降、上院議員選では38年以降、共和党が勝ち続けている。ただし、近年は共和党内における中道派と保守派の対立が激しい。代表的政治家のボブ・ドール元上院院内総務(96年の大統領選に出馬しクリントン大統領に敗北)は2021年12月、98歳で死去した。

36.ミズーリ州

「西部開拓の玄関口」セントルイスのミシシッピ川
沿いには世界最大のアーチ型モニュメントである
ゲートウェー・アーチがそびえる

1803年のルイジアナ買収によって米領となった土地の一部である。前身といえるミズーリ準州は買収地の大部分を占める広大な土地を割り当てられていたが、21年の州昇格時に現在の州境が定められた。

米国中西部の穀倉地帯を構成する州の一つであり、大豆、トウモロコシ、肉牛、豚等を生産している。大豆とトウモロコシについては生産者団体の全米本部も置かれている。

州内の大都市としては西のカンザスシティー(最大都市)と東のセントルイスがある。いずれも河川の結節点に築かれた州境に面する街であり、ミズーリ州側に中心市街地が存在している。特にセントルイスは西部開拓の玄関口として知られた準州時代の州都であり、現在は観光都市として有名である。

政治面では20世紀を通じてスイングステートであり、1904年から2004年までの大統領選では、1回(1956年のアイゼンハワー勝利)を除いて同州の勝者が全米勝者となっていた。2008年以降は一貫して共和党候補が勝利しており、政治性向が保守化しているとみられている。

【米国事務所】

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