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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月11日 No.3521 第31回「経団連 Power Up カレッジ」 -「次世代への責任とおもい」/アステラス製薬の畑中会長が講演

畑中氏

経団連事業サービス(十倉雅和会長)は10月14日、第31回「経団連 Power Up カレッジ」をオンラインで開催した。アステラス製薬の畑中好彦会長が講演した。概要は次のとおり。

■ アステラス製薬のサステナビリティ

アステラス製薬の存在意義は、先端・信頼の医薬で世界の人々の健康に貢献することである。このことが社会の持続可能性の向上につながり、その結果、当社も社会から信頼を獲得し、持続可能性を向上できる。当社は今年5月に公表した「経営計画2021」において、サステナビリティを戦略目標の1つとしている。

■ 魅力的な会社を目指す取り組み

私は、山之内製薬と藤沢薬品工業の合併によるアステラス製薬の誕生に、藤沢薬品工業側の実務責任者として携わった。合併は順調に進んだが、合併から1年もたたないうちに同僚から「今の会社は魅力的でない」と指摘された。社員の処遇には配意したつもりだったが、人の気持ちへの配慮が足りなかったと反省し、魅力的な会社になるための施策に取り組んだ。

社員がそれぞれの所属先で心の平穏を保って働ける「心理的安全性」の確保に気を配っている。個人個人の心理的安全性に違いがあることを理解するための対話の量と質、組織として多様な意見や行動様式を受容する寛容度、この2つを高いレベルで達成することが、組織が社会からの期待に応え続けられるベースである。

リーダーシッププログラム等の社員研修で社員から出された提案に対して、その場に出席している経営幹部が採否を判断し、社員の提案を素早く実現できるようにしている。採用された提案は、通常、提案者が責任者となって実行することになっている。

新規事業開発を積極的に進めているが、経営資源は限られている。将来の成功のために中途半端な投資は許されず、また既存事業の縮小や中止、譲渡もあり得る。「1つ始めるなら3つやめる」――新規事業を始めるには、そのくらいの価値があるという覚悟を示すことが必要である。

■ 次世代を担う方々へのおもいと期待

リーダーシップについて書かれた本を読むだけですばらしいリーダーになったという人を見たことがない。リーダーシップのあり方は十人十色であり、自分なりのリーダーシップを見つければよい。一方、リーダーシップと同じくらいフォロワーシップが大事である。リーダーに的確な役割を演じてもらうための冷徹な支援者としてのフォロワーがいる、あるいは両方を演じ分けられる人がいる組織こそが高いパフォーマンスを発揮すると考えている。

人間はひとりでは生きられない。それぞれが役割を果たしながら社会を形成している。しかし、それが心地よい「群れ」の形成につながることがある。心地よさは進歩を止め、排他性の温床となり得る。自分が組織のなかでマイノリティーになる経験を積むことで、少数意見を尊重し、多様性を受容する感覚が養われる。また、自分の持つ価値を見直すことにもつながる。マイノリティーになる機会を積極的につくる、取りに行くことを勧める。

環境や他人が自分の生き方を規定しているのではない。私自身は自らの意思、自らの言葉、自らの選択で生きようと努力してきた。また、「われわれは」ではなく、「私は」と語るようにしてきた。いわば「一人称で生きる」である。そのように心がけていれば、後に失敗とわかる決断も受容でき、経営者としての孤独に耐える力もつく。

経営とは「未来との対話」であると考えている。家族、友人、同僚、組織、社会、地球、それぞれの未来に対して自分は良い行いをしているだろうかと日々考えている。取り巻く環境が高度化、複雑化するなか、自分は対話をおろそかにしていないか、対話することを諦めていないかと自問している。次世代への責任とおもいは、明るい未来との対話である。

【経団連事業サービス】

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