地域経済活性化委員会企画部会(徳川斉正部会長)は、地方創生の実現に向けた経済界のアクションについて検討を進めている。10月5日の会合では、地域社会で活躍する人材の育成に向けた産学官連携の取り組み、医学を活用した地域づくりをテーマにそれぞれ説明を聴くとともに、意見交換した。
初めに、信州大学の林靖人産学官連携・地域総合戦略推進本部長が説明。大学のあり方について、研究、教育、社会貢献という機能が分断されてきたことを反省し、地域や社会での日常のつながりのなかで研究を行い、学びや気づきを得ていく場としていくことが重要だと強調。そのうえで、同大学における産学官連繋を通じた地域経済活性化の取り組みとして、地元企業や自治体との連繋によるプロジェクトベースでの教育機会の提供、富山大学・金沢大学や自治体、各地域経営者団体との連繋による人材育成プログラムの事例を紹介。今後は、活動範囲を海外にも広げて、地域課題の解決に取り組む人材育成を通じて地域の活性化を図っていくと意気込みを述べた。
続いて、奈良県立医科大学の細井裕司理事長・学長が登壇。細井氏は、同大学の医師と民間企業が連携することにより生まれた新製品やサービスの事例をもとに、医学を基礎とした産業創生による地域活性化の可能性を指摘した。そのうえで、同大学が中心となって運営しているMBT(Medicine-Based Town)コンソーシアムの活動として、高齢者の健康見守り事業などをはじめ、地域におけるまちづくり・健康づくり活動に200社以上の企業と共に取り組んでいることを紹介した。
地方創生・社会貢献活動をさらに活性化していくには、コンソーシアムの拡大が必要であり、経団連会員企業による今後の参画に期待を示した。
【産業政策本部】