経団連は9月14日、「令和4年度税制改正に関する提言」を公表した。
基本的な考え方は、2点ある。1点目は、令和4年度改正を通じて、コロナ禍での企業活動および個人消費を下支えするとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)およびグリーントランスフォーメーション(GX)に資するイノベーションを喚起することである。2点目は、中期的観点から、経団連の「。新成長戦略」で掲げたサステイナブルな資本主義・経済社会と整合する税制措置のあり方を提示することである。
1.わが国企業の価値創造力・競争力の維持・強化に向けて
わが国の法人実効税率について、引き続きOECD主要国およびアジア近隣諸国の平均水準を目指すべきである。そのうえで、DX、GXの加速に向けて、1つ目に、オープンイノベーション促進税制の延長・拡充等を図るべきである。
2つ目に、事業活動の円滑化に向けた税制措置を講じるべきである。
3つ目に、5G投資促進税制の延長・拡充に加えて、GXに向けた研究開発税制の拡充等も検討すべきである。なお、償却資産にかかる固定資産税は、本来的には廃止すべきである。
2.サステイナブルな経済社会の構築に向けて
カーボンプライシング等の経済的手法については、各種観点から、丁寧な議論・精査のうえで、最適なあり方を追求すべきである。成長に資する税制措置を検討することが重要なことから、企業にとってCO2削減に資する主体的な取り組みへのインセンティブ措置とするといった視点を踏まえたものとすべきである。
炭素税は、現状では新規導入の合理性は明らかではない。今後、既存のエネルギー関係諸税全体について、CO2排出量を勘案しつつ、総合的な見直しを進めるべきである。その際、既存の地球温暖化対策税について、廃止も含めてあらゆる選択肢を排除せずに、所要の見直しを行うべきである。
このほか、自動車関係諸税や、ライフコースの多様化に即した所得・資産税制のあり方についても検討すべきである。
3.国際経済秩序の再構築に資する国際課税の枠組みに向けて
まず、デジタル経済における国際課税について、利益配分ルールに相当する「第1の柱」、ミニマム課税にあたる「第2の柱」いずれについても、企業の実務負担や、税負担に照らして、各技術的論点にかかる議論を続けていくべきである。
次に、「第2の柱」の国内法制化を見据えて、既存の外国子会社合算税制についても、抜本的な簡素化を早期に行うべきである。
4.その他
住宅税制について、住宅ローン減税制度の控除限度額および控除期間の延長等を講じるべきである。また、土地にかかる固定資産税について、来年度の負担増の発生状況が納税者に与える影響にも十分留意したうえで、負担調整措置を拡充すべきである。
次に、電気・ガス供給業にかかる法人事業税収入割の見直し等を図るべきである。
さらに、期限切れ租税特別措置について、火災保険等にかかる異常危険準備金制度の充実等を図るべきである。
【経済基盤本部】