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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月22日 No.3508 21世紀政策研究所がシンポジウム「中国共産党100年と習近平体制」を開催

21世紀政策研究所(十倉雅和会長)は、中国情勢に関する研究プロジェクト(研究主幹=川島真 東京大学大学院教授)の一環として、7月7日、会員企業から300人の参加を得てオンラインシンポジウム「中国共産党100年と習近平体制」を開催した。川島研究主幹はじめ、同研究プロジェクトメンバー4名が登壇し、新型コロナウイルスをめぐる中国の対応とその影響を概観するとともに、中国共産党創立100年という節目を迎えた中国を統治と経済の観点から分析した。概要は次のとおり。

■ 習近平政権と「法治」
(小嶋華津子 慶應義塾大学法学部教授)

習近平政権が重視してきた「法治」の目的は、(1)党の領導と党と国家による規律ある統治の実現(2)規律ある安定した社会の形成(3)規律ある市場の構築(4)諸外国による法の域外適用に対抗するとともに、国際規範の構築における言説空間の確保――の4点に整理できる。

■ 中国における新型コロナ疫情をめぐる民兵の動員
(弓野正宏 法政大学大学院中国基層政治研究所特任研究員)

民兵は、全国の地方自治体で組織され、国防動員体制の一つに位置付けられる。新型コロナの封じ込めでは、民兵が民衆との最前線に立ち活躍した。今後も、共産党政権は民兵による全民皆兵制度を拡充し、国家総動員体制を強化するとともに、中国が抱える「内憂外患(少数民族問題や米中対立など)」に対処し、政権継続を図る。

■ 共産党体制と中国における高度成長のメカニズム
(丁可 ジェトロアジア経済研究所主任研究員)

中国モデルの経済発展があるとすれば、そのコアな部分は共産党の指導であり、その要素は、(1)強力な動員体制のもとでの起業とイノベーションブームの創出(2)経済成長率を幹部の評価指標とする激しい地域間競争(3)先進諸国の経済制度を教訓とする旺盛な学習意欲――の3点である。そして中国モデルは異質に感じるが、一部の要素は、米国でも取り入れられつつある。

■ 新型コロナ下・ポストコロナの中国をどのようにみるか
(川島研究主幹)

国民はテクノロジーを利用した末端(基層)への管理統制を便利さと引き換えに受け入れる側面がある。また、政権にとっては、社会問題の未然の防止、統治の最適化を探るねらいもある。経済発展は重要だが、香港問題でみられるように、経済性よりも国家の安全が優先されているのも事実である。今後の日中関係は、経済関係を断つことが困難ななかで、米中対立、法の域外適用などに対応することになるが、民間交流がストップしている影響で、中国国内での日本に関する情報の偏重が大いに懸念される。

<パネルディスカッション>

続くパネルディスカッションでは、講演者4名が登壇。まず、中国の現状については、(1)コロナ禍が中国の諸課題を顕在化させたのであり、これを理解するには、いわゆる中国論で単純化せず個別具体的な分析が必要(2)習近平政権についても独裁とは言い切れない――との説明があった。次に、人民解放軍のデジタル化が議論され、デジタル化部隊が軍事的最先端に位置付けられているとの説明があった。人民解放軍によるハイブリッド戦と民兵の役割に関連して、共産党は、DXをツールとし、民兵、社区の制度を活用して史上初めて農村の最深部(基層)に本格的に入ることに成功したのであり、今後中国型スマートシティという側面からも注視すべきである、との分析が示された。

【21世紀政策研究所】

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