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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月22日 No.3508 G7団結の意義を鈴木外務審議官が紹介 -G7サミットに関する懇談会

鈴木氏

6月11~13日に英国のコーンウォールで開催されたG7サミットに先立ち、経団連はG7ビジネス・サミット(B7サミット、5月11~12日にオンライン形式で開催)に参加するとともに、共同提言の策定に積極的にかかわった。

こうした経緯を踏まえ、7月7日、オンラインでG7サミットに関する懇談会を開催し、同サミットで菅義偉首相のシェルパ(補佐役)を務めた外務省の鈴木浩外務審議官から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 今次サミットの意義

2年ぶりの対面のサミット、かつコロナ禍のもとで行われるサミットとして、世界の注目を集めた。今回のサミットの大きな意義は、(1)新型コロナに打ち勝つ(2)より良い回復を図る――という2つの目標を掲げ、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値のもとに結束し、多国間主義にコミットすることを明確に示したことにある。

■ 地域情勢

自由で開かれたインド太平洋、東シナ海、南シナ海、台湾海峡、北朝鮮、中国、ミャンマーに関して、わが国の基本的な認識を首脳コミュニケに書き込むことができた。

■ 感染症対策

新型コロナに関しては、来年中の終息という野心的な目標を掲げ、ワクチン10億回分相当への支援にコミットした。またワクチンに関する知的財産権の放棄に関しては、WTOにおける議論に積極的に参加するとされた。加えて、新型コロナの第二段階の起源調査の実施を求めることで一致した。

■ 経済回復・貿易

これからも必要な期間にわたり経済への支援を継続することが明記された。グローバル・ミニマム課税に関する歴史的なコミットメントを承認した。

貿易に関しては、改革されたWTOを中心とした自由で公正な貿易の実現に向けて取り組んでいくとの決意を示した。また、農業、太陽光、衣類の部門を含め、国家により行われる強制労働を含むあらゆる形態の強制労働の利用に対し懸念を表明した。

日本が推進してきたDFFT(信頼性のある自由なデータ流通)については、デジタル大臣会合で合意されたロードマップを首脳間でエンドースした。

■ 気候変動

英国は今年11月にCOP26を主催することもあって、気候変動分野に非常に注力した。首脳コミュニケでは、(1)エネルギー分野の総論(エネルギー効率の向上、エネルギー安全保障、イノベーション)(2)エネルギー分野の国内政策(3)エネルギー分野の海外政策(4)石炭の国内政策(5)石炭の海外支援(6)運輸(7)産業・イノベーション(8)住居・ビル・産業(9)気候資金(10)金融――等といった分野ごとに合意事項が記されている。

■ 途上国支援

世界のより良い回復を図るためのパートナーシップを発展させるうえで、特別の優先事項はクリーンかつグリーンな成長のためのイニシアティブである――この提案を発展させるため、タスクフォースを設置し、今秋に首脳に報告させることで一致した。

■ G20に向けた取り組み

以上のような多岐にわたる分野において、今回のサミットでは、G7としての結束を示すことができた。10月末に行われるG20サミットについては、議長国であるイタリアが「People, Planet, Prosperity」をテーマに掲げている。G20サミットはCOP26の直前に開催される。COP26に弾みをつけるべく、同サミットに向けてイタリアをサポートしていきたい。

【国際経済本部】

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