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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月15日 No.3507 「宇宙基本計画の実行に向けた提言」を公表 -井上内閣府特命担当大臣に建議

左から井上大臣、篠原副会長、田熊部会長

経団連(十倉雅和会長)は7月13日、「宇宙基本計画の実行に向けた提言」を公表した。昨年6月に政府が閣議決定した新たな宇宙基本計画の着実な実施に向けて、2022年度の宇宙関係予算で担保すべき重点事項をまとめたもの。

公表に先立ち、7月7日に開催された21年度宇宙開発利用推進委員会総会において、篠原弘道副会長と田熊範孝宇宙開発利用推進委員会宇宙利用部会長が、井上信治内閣府特命担当大臣(宇宙政策)に提言を建議した。

提言の概要は次のとおり。

■ 宇宙政策の重要事項

(1)宇宙安全保障の確保に向けた5つの重点施策
  1. 宇宙状況把握(SSA)能力の強化。宇宙空間の情報をレーダなどで収集するSSAシステムを構築し、早期の運用開始を目指すため、体制を整備すべきである。
  2. 早期警戒機能の整備。早期警戒機能を保有する小型衛星コンステレーションを開発して保有すべきである。
  3. 準天頂衛星システムの開発と整備。23年度に持続測位が可能な準天頂衛星7機体制を構築し、データ利用を推進すべきである。
  4. 海洋状況把握能力の強化。衛星から海域の情報を取得するレーダなどの開発が必要である。
  5. 宇宙システムの抗たん性(※)の確保。民間企業向けの宇宙システムのサイバーセキュリティガイドラインにおいて、抗たん性の強化に重点を置くべきである。
(2)災害対策の強化に向けた3つの重点施策
  1. 内閣府が主導する「戦略的イノベーションプログラム(SIP)」との連携。SIP第2期において、災害対策に資する衛星データ共有システムを構築し、社会実装を推進すべきである。
  2. 観測衛星システムの整備とデータ利用の推進。観測衛星「だいち」の整備と運用を進め、大型・小型衛星を組み合わせたコンステレーションの構築を検討すべきである。
  3. 先端的なリモートセンシング技術の研究開発。レーダやセンサの高度化に対応し、リモートセンシング技術の研究開発を推進すべきである。
(3)宇宙産業基盤の強化に向けた3つの重点施策
  1. 宇宙インフラの整備。政府衛星の打ち上げにおいて基幹ロケットを優先的に使用する方針を継続すべきである。
  2. 衛星の自立性確保と競争力強化。政府と企業が参加した「衛星開発・実証プラットフォーム」のもと、革新的基盤技術の充実を図るべきである。
  3. 宇宙産業のサプライチェーン強化。衛星やロケットの基幹部品の国産化、技術開発や実証を進めるべきである。

■ 宇宙関係予算の確保

宇宙基本計画ならびに工程表に沿って、衛星やロケット等のプログラムを予定どおり実施する必要があるが、毎年度の宇宙関係予算は3000億円台で推移している。

宇宙基本計画における宇宙産業規模を拡大する2つの数値目標を達成するために、22年度の政府の宇宙関係予算の概算要求額を年間5000億円に近づけるべきである。

■ おわりに

経団連は、宇宙産業の一層の発展に努めて、わが国の経済成長に貢献していく。今後、宇宙開発利用推進委員会は、宇宙関連のスタートアップとの連携を強化していく。

※宇宙システムの機能を継続的かつ安定的に利用できる能力

【産業技術本部】

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