経団連は6月15日、報告書「SDGsへの取組みの測定・評価に関する現状と課題~『行動の10年』を迎えて」を公表した。
SDGs(持続可能な開発目標)は、国際社会への普及期間を経て、2020年以降「行動の10年」とされ、各主体の取り組みが真に意味のある成果が出ているか検証しようとの機運が国際的に高まっている。同報告書では、国連などの国際組織や政府、自治体、企業など、各主体におけるSDGs達成に向けた取り組みに関する測定や評価について、主要な手法等の目的や開発状況、課題等を体系的に整理し、実践事例とともに紹介している。
■ 測定・評価の必要性
SDGsには法的拘束力はなく、国・自治体、企業、NPO等の各実施主体が自ら野心的な目標を設定し、目標からバックキャストして進捗を管理・測定する「目標ベースのガバナンス」が求められている。SDGs達成にとりわけ重要なカギを握る企業について、評価の質を高めることは取り組みの改善や効果の増大につながる。また、企業による透明性の高い成果の開示は、金融機関をはじめ多様なステークホルダーとの対話や協働の基盤となるのみならず、「SDGsウオッシュ」との批判を受けないためにも重要である。
■ 測定・指標の全体像
測定・指標は、主に「グローバル・国(地域)」「企業・事業」の各レベルで実施されている。
グローバルレベルでは、国連が247の「グローバル指標」に基づいて進捗を把握し、毎年、事務総長によるSDGs報告書を公表している。
国レベルでは、各国政府がグローバル指標と独自の指標を用いて進捗を管理し、その結果を国連機関に報告するとともに、4年に1回、自発的国家レビュー(VNR)を国連に提出することが推奨されている。日本政府は、今年6月に2回目となるVNRを提出予定である。
企業・事業レベルでは、自社のパーパス(存在意義)等に基づき、SDGsを経営戦略に統合したうえで、優先課題に関してKPIを設定し進捗を測定することが重要となる。
■ 今後の課題
まずは、各主体によるSDGsの取り組み効果を測定・評価する必要性について理解を促すことが重要である。そのうえで、グローバル・国レベルでは、評価指標の定義等を明確化すべきである。
企業においては、SDGsを経営戦略に組み込む段階から、測定・評価の目的や必要性を明確にし、関係者間で共有すべきである。そのうえで、評価の目的や対象に適した評価手法を選択することが重要である。
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企業の取り組みを企業価値につなげていくために、取り組みの効果の測定・評価は欠かせない。経団連では引き続き、多様な組織と連携しながら、測定・評価に関する最新情報を収集・提供し、企業の実践に関する国内外への発信とステークホルダーの理解促進などに努めていく。
【SDGs本部】